日本発IP、次なる成長戦略は? ADKが「Global IP Power Survey 2024 Report」を発表

ADKマーケティング・ソリューションズは5月27日、「Global IP Power Survey 2024 Report」(以下「GIPS 2024」)を作成・発表した。同レポートは、作品・キャラクター(IP)に関する生活者の意識と行動を把握することが目的。ADKエモーションズと共同で定量調査を実施した結果をまとめている。

「GIPS 2024」では、日本・北米・インドの3市場を対象に、生活者と作品・キャラクター(IP)との関係性を調査。IPに対する“好き”という感情や関わり方、そこから生まれる行動を4つの視点から分析している。

昨今IPの数は年々増加、さらに選択肢も多様化していることに伴い、単純な視聴・購入だけにとどまらず、多様な楽しみ方が生まれている。ADKは、これらのIPには共通して、「生活者との深い関係性」が存在しているという仮説のもと、今回の調査を実施。IPビジネスを深く理解し次なる成長戦略を描くうえで、“好き”という感情を捉えることが出発点になると考えているという。

調査結果のまとめは、以下の通り。

1.国によって異なるIPの受容性

〇世界に広がるIP人気 2037年末には983億米ドルの市場規模に

日本をはじめ世界ではIP市場が急成長しており、世界のアニメ市場規模は2024年に300億米ドルに到達、2037年末までに983億米ドルに達すると推定されている※1

※1 出典:Research Nester Analytics「世界のアニメ市場調査、規模、傾向のハイライト(予測2025-2037年)

どの国でも作品・キャラクターは多くの人々に愛されており、約8割強の生活者(日本83.5%・北米79.0%・インド89.3%)が“好きなIP”を1つ以上挙げた。その中でも、日本のIPは各国で多くの人たちに愛されていることがわかった。

図:好きなアニメ・キャラクターTOP15に占める日本IPの割合

〇国の文化や価値観が映すIPのとらえ方と接点、課金スタイルの違い

IPに対する感情的なつながり方の特徴については、日本は推し活の影響もあり「応援」、北米では「愛」、インドでは「友達」と捉える人が多い傾向が見られた。交流スタイルにも違いがあり、日本ではオフラインで交流を行う傾向が強い一方、北米・インドではオンラインでの積極的な発信が主流。ADK MSによると、こうした違いの背景には、各国に根づく価値観や文化的背景が影響しているとしている。

各国の大人(15-59歳)におけるIPとの関わり方比較

2. 大人と子どもで異なる “好き”のタイプと楽しみ方

〇価値観をベースに関わり方のタイプを明らかに

さらに本レポートでは、作品・キャラクターへの意識と性格価値観を、クラスター分析を用いて大人・子どもそれぞれ6つのタイプに分類。クラスターごとの価値観・傾向を分析し、世の中における作品・キャラクターの広がり方の構造を下記のように捉え、図版化している。大人6つ、子ども6つの計12タイプにクラスタリングした。

上記の図でクラスタリングした大人のタイプから、さらにIPへの興味の育み方や関係の持ち方を大きく3つに分類。「自分で見つけるタイプ」「周囲や流行から影響されるタイプ」「よく見かけるものを好きになるタイプ」に分かれることがわかったという。

3. 個別IPの”愛され方”からキャンペーン設計を見直す

〇IPマーケティングやタイアップ施策の考案のため個別IPの現在地を分析

コラボレーションマーケティング活動やキャンペーンに使われることが多いIPだが、ADK MSによると、IPの出自ごとに、楽しみ方の特徴が異なることも明らかになったという。例えば、各IP作品の「好きな所」を分析したものでは、キャラクター系IP作品では「見た目が好き」という特徴が見られたのに対し、王道バトル系IPでは「ストーリーで感動・考察や分析が好き」との回答が多い結果になったという。この結果を踏まえ、IPを活用したマーケティングを行う上で個別IPの現在地を分析することは重要だと示した。

4. IPビジネスにおけるファングロース戦略

さらにADK MSは、IPの持続的な成長のためには、様々な観点での“好き”のかたちの違いを踏まえることで「好きな人」を増やすことはもちろん、その先の行動(課金・推奨)まで設計する必要があると言及。

ファングロース戦略図

IPビジネスにおけるファングロース戦略の策定には、IPごとに大きな違いのある「ファン構造」を捉えることが必要不可欠であるという考えのもと、ADK MSでは、市場における「浸透」とファンの「熱量」の2軸から、IPを以下の4型に分類。“好き”の気持ちを高め “行動”させ、ファンの熱量を起点に新たなファンを獲得・育成しビジネスをグロースさせていくことが、ADK MSの考える“IPビジネスにおけるファングロース戦略”だと示した。

IPファン構造 4分類

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