左から)ソニーセミコンダクタソリューションズ 経営戦略部門 コミュニケーション戦略部 ブランド戦略課 大内一貴氏、インフォバーン 執行役員 コミュニケーションデザイン第1事業部 ゼネラルマネージャー 羽村悠己氏
ソニーグループで半導体事業を担うソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、SSS)は、主力製品のイメージセンサーで世界トップシェアを誇る。だが2015年の分社化以降、個社としての認知度向上、企業ブランディングが課題に。事業拡大に伴い技術者の確保も急務となる中、これまで接点のなかった潜在層に対し、事業領域への関心を促すこと、採用にもつなげていくことが問われていた。そこで、SSSが挑んだのがオウンドメディア「LightsWill」を通じたブランドコミュニケーションだ。
半導体の未来を語るメディア「LightsWill」。インフルエンサーとのコラボ企画や、イメージング&センシング技術の最新動向のほか、SSSで働く人の思いも発信し、次世代エンジニアの好奇心を喚起する。
自社目線を超え、潜在層へ発信
「コーポレートサイトは社名での検索流入が7割。当社を知らない人にも情報を届けるには、自社のファクトだけではなく、世の中の関心事やトレンドを切り口に、半導体の面白さや可能性を語り、興味を持ってもらうことが有効だと考えました」とSSSで企業ブランディングを担う大内一貴氏は話す。企業の枠を超えて半導体全般の魅力を、ターゲットのニーズに沿って分かりやすく伝え、態度変容を促す。その実現のため、同社がタッグを組んだのはコンテンツを活用したマーケティング支援で豊富な実績を持つインフォバーンだった。
「期待を超える魅力的な提案をもらい、オウンドメディアの要件定義から依頼することにしました。最も期待したのは、自社視点ではなく、ターゲットに徹底的に寄り添った斬新なコンテンツを企画・制作してもらうこと。結果的に、今まで関わることのなかった専門家やインフルエンサーとのコラボが実現したり、半導体業界の啓発となるようなラーニングコンテンツを発信したりすることで、認知獲得につなげることができ、心強いパートナーだと再認識しています」と大内氏は振り返る。
インフォバーンからの提案は、①読者対象となる次世代の技術者のインサイトを把握した上でUXを設計すること、②半導体の10年先の未来を描くコンテンツで好奇心を刺激し、業界への関心を高めること、③インフォバーンが企画し、SSSが協賛する「sponsoredby SSS」の中立的なメディアと位置づけることで内容の自由度を上げ、情報を拡散しやすくすることだった。
ユーザーの声に寄り添う
UX設計については、スマホで快適に読めるレイアウトを重視し、1テーマを3記事に分割して、1記事の文字数を削減。記事冒頭にはChatGPTを活用した要約文を掲載し、短時間でも内容を把握できる工夫を加えた。またサイトデザインは、3つの候補のうち、想定ユーザーから最も評価の高かったものを採用した。「実は、私たちの想定とは異なるデザインを最終的に選びました。ターゲットに聞かなければ、全く違うトーン&マナーになっていたと思います」と大内氏は振り返る。
サイトの直感的な操作のしやすさが好評を得て、「LightsWill」は日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構が主催する「第12回Webグランプリ」 の企業グランプリ部門で、アクセシビリティ賞優秀賞を受賞するなど、外部評価も得ている。
「LightsWill」に携わるSSSのメンバーとインフォバーンがチームとしてWebグランプリ贈賞式に出席。
未来を照らす「道しるべ」に
想定ユーザーへのインタビューでは、「情報への信頼がおけないサイトが多いと感じている」「半導体業界で働くイメージがつきにくかった」といった意見も出ていた。今後のキャリアについて考えている人たちにとって信頼できる情報を提示し、未来を照らす「道しるべ」となるようなサイトでありたい─。こうした考えから、「LightsWill」では、半導体の未来をテーマにした学びを促すラーニングコンテンツやSSSのエンジニアが具体的な事業や仕事内容を語るコンテンツを充実させている。
当初、インフルエンサーとのコラボ記事に関心が集まると想定していたが、アクセス解析の結果、ラーニングコンテンツがユーザーの支持を得ていることも分かってきた。半導体業界の人材育成、技術者のキャリアについて大学教授に聞いた記事もそのひとつだ。「丁寧にメディア設計を行ったことで、SSSさんとの間に共通認識を築くことができ、インフォバーンの編集チームも主体的に企画提案に取り組んでいます。オウンドメディアの編集に第三者目線を入れることで、従来の企業コミュニケーションにはないコンテンツが実現できています」とインフォバーン執行役員の羽村悠己氏は話す。SSS社内からも「半導体の力で身の回りの生活がどう変わるのか、分かりやすく伝えている」として好意的な声が上がっている。
要件定義から約1年かけて2024年1月に開設した「LightsWill」。中長期のロードマップを描き、2024年度はメディアの基盤構築に注力した結果、認知指標として設定したPV数は計画比120%を達成。2年目となる2025年度は、リピート率向上、ロイヤルティの高いファンの拡大に向け、読者とのリアルな接点をつくる施策を実施することで、定性的な目標達成も目指していく。半導体について知りたい時には「LightsWill」と思ってもらえる専門メディアに育て、業界に関心を持つ若手エンジニアを増やしていきたい考えだ。
企業認知に課題を持つ企業が、業界や事業領域に対する関心を高めるコンテンツを第三者視点で発信することで、潜在層にアプローチし、企業ブランディングを強化しながら採用にもつなげていく。こうしたオウンドメディアの活用が、今後も進んでいきそうだ。
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