ローソンは、2023年産の古米などを使用したおにぎりを7月に関東エリア限定で発売する。6月3日に開いた創業50周年施策の発表会で明らかにした。「ヴィンテージ米おにぎり」と称し、パッケージには「Vintage 2023」などの年号を記載。税抜き120円前後で販売する。使用する米は備蓄米ではなく、市場から買い取った2023年産のものなど約2トン。
ローソンは、創業50周年を記念した施策についての記者発表会を実施した
「ヴィンテージ米」のネーミングは、認識のアップデートが主眼であり、“まずそう”という印象を払拭する戦略として機能している。当初は「熟成米」や「エイジングライス」も候補に挙がったが、より親しみやすく前向きな響きを持つ「ヴィンテージ米」に決定されたという。
竹増貞信社長は「“ヴィンテージ”と呼ぶとワインのようでなんだか大事にしたくなるし、 “ちょっと食べてみたい”という気持ちが生まれる」とコメント。
おにぎりの形にしたのも、「まずかったらどうしよう」と感じる人に気軽に手に取ってもらうため。 古米を数キロ単位で買うのは不安でも、おにぎり1個なら「ちょっと試してみようかな」と思える。そんな心理的ハードルを下げる入り口として、「ヴィンテージ米おにぎり」は設計されている。
「ヴィンテージ米のおいしさを一人でも多くの人に体験してもらい、 “古い=まずい”という固定観念をやわらげてもらえたら」と竹増社長は語る。
備蓄米パックは「速やかに全国へ」
同時にローソンは、政府が随時契約で放出する2021年産の備蓄米(古古古米)についても500トン分申請しており、1kg360円、2kg770円の小容量パックとして販売予定。入荷後3日を目安に速やかに店舗に並べ、1店舗あたり30〜40パックの展開が想定されている。
2021年産の備蓄米(古古古米)を活用した小容量パックも、準備が整い次第、速やかに販売する
「少量で試したい」という声に応えると同時に、今回は、これまで5年後に飼料用へ回されていた備蓄米を食用として活用する新たな試みにもなっている。竹増社長は「湿度や温度が管理された環境で保管されており、もっと有効に使える」と説明し、「まずは食べてみて、古米の味を生活者お1人おひとりに評価いただきたい」と強調。再選択へとつながる接点をつくることで、無駄のない消費の循環を目指す。
食品ロスを削減する取り組みも
さらにローソンは、8月から食品ロス削減を目的とした新プログラム「FOOD GOOD SMILE」を全国100店舗で開始予定だ。消費期限が迫ったおにぎりに貼られる値引きシールを目印に、1個の購入ごとに1円を福祉施設へ寄付する仕組みで、購入がそのまま社会貢献につながる。
竹増社長は「物価高の中で施設運営も逼迫している。おにぎりを通じて、地域や福祉を支える循環を広げたい」と語り、食のインフラ企業として、日常の“選択”を通じた社会課題解決に挑む姿勢を示した。
店頭で期限間近の商品を明示する「FOOD GOOD SMILE」。視認性を高め、廃棄抑制を図る
