TBWA HAKUHODOのマーケティング組織「65dB TOKYO」は6月4日、2025年上半期にSNS上で発生した約20億件の投稿からトレンドを分析し、生活者の共感行動や企業との接点、AIとの関係性などを読み解いたレポート「2025年上半期SNSトレンド徹底解剖」を公開した。
Xのメンション数といいね数を元に作成した「注目トレンドマップ」では、トレンド入りした話題の中でも特に多くのユーザーに届き共感を呼んだものとして①画像ミーム、②AI、③企業とユーザーのコミュニケーションがあげられた。同レポートでは、この3大トレンドの分析と解説がまとめられている。
58億インプレッション越え 画像ミームは“感情を安心して共有できる手段”
3大トレンドの中でも特に注目を集めたのが。画像と一言を組み合わせたシンプルな投稿フォーマット「画像ミーム」だ。
メンフクロウのヒナが走る写真が、人間が腕を振って走っているように見えることから、擬音「エッホエッホ」とともに拡散されたミームはこれまでで約58億インプレッション以上を記録。「あくまでネタとして発信できる」「共感の共有」によって炎上リスクを避ける使い方が定着したと分析している。他にも、一般ユーザーが突如「すみません、犬の情けない写真欲しいです」と投稿し大きな反響を呼び、人間や料理などあらゆる界隈に派生しミーム化し、関連投稿は1.8万件以上に上った。
65dB TOKYOは、SNS上での発信には慎重さが求められる今、画像ミームは“感情を安心して共有できる手段”としてユーザーに受け入れられていると指摘。
これまでのSNSは「自分の意見や感情を発信する」投稿が多い傾向にあったが、最近では「誰かの言葉に自分を重ねる」ような発信に変化しつつあると分析した。他者の言葉や画像を借りて自分の感情を表現するというスタイルは、今後ますます主流化するとしている。
「発信するより、共感したい・されたい」という気持ちを起点とした新たな行動様式がSNS上で定着。
AIとの共生は二極化、SNSで好感を得るブランドの共通点とは
レポートでは、急速に進化するAIがXとTikTokでそれぞれどう使われているかなど、2025年下半期のSNS利用に生かせるトレンド傾向も分析。Xでは「Grokによるファクトチェック文化」が広がり、TikTokでは「AI生成ラベル」付き非現実コンテンツが拡散。「事実を知りたい派」と「非現実を楽しみたい派」の分断が進行していると考察している。
