動物の負担軽減も 生成AIによるCM制作の狙いを東京シティ競馬に聞く

「生成AI=非現実的」という文脈を生かす

東京シティ競馬(TCK)は、「生成AI」を活用した競馬CMシリーズを展開している。6月11日の「東京ダービー」を告知する「生成AIで競馬CMつくってみた・第2弾 –東京ダービー篇–」を6月2日から公開。これまでの競馬CMは実際の馬を撮影して制作されることが多く、馬への負担や表現上の制約も大きかった。生成AIの導入によって表現の幅が広がり、より斬新なCMの実現が可能になったという。

イメージ 走ることが好きな主人公「大井競子」

走ることが好きな主人公「大井競子」

同シリーズは、上半期の3大レースである「羽田盃(JpnⅠ)」「東京ダービー(JpnⅠ)」「帝王賞(JpnⅠ)」を盛り上げることを目的に企画された。「生成AIの生成物=非現実」という文脈をあえて生かし、レースの魅力を誇張表現するための技術として活用している。

「生成AIで競馬CMつくってみた・第2弾 –東京ダービー篇–」は、アニメ番組の予告編風に仕上げた作品。主人公「大井競子」は「東京ダービー」を目指す女子大学生。競子が密かに思いを寄せる幼馴染でコーチの勝島や、友人であり恋のライバルでもあるセイコの3人が繰り広げる青春物語となっている。

アニメーションはすべて生成AIによって制作。ストーリーは「特別区競馬組合」と制作会社が協議の上で決定した。「既存のCMとは異なる角度から制作することで、これまで競馬に関心のなかった層にも印象に残る構成を目指した」という。

制作は「AIで静止画を生成」し、「それを映像化する」という工程で進行。場面ごとのイメージをテキスト(プロンプト)で大量に静止画として生成し、その中から選定した画像を動画生成ツールで映像化した。

競走馬の動きの生成には細心の注意を払っている。動画内に登場するファンファーレ演奏シーンなどは、実際のファンファーレ隊の画像をAIに学習させ、理想に近い映像の再現を図った。

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