「インハウス転職」の落とし穴と勝ち筋—選ばれるデザイナーの条件とは?

デザイナー職の間で年々人気が高まりつつある「インハウスデザイナー」。人気が高まるとともに、競争率も上がっているというのが実情です。そのような中、転職市場において企業に評価されやすいデザイナーの特徴や、ミスマッチをなくすためのポイントとは。

デザイナーをはじめとするクリエイティブ職の転職に特化した転職エージェント「マスメディアン」のコンサルタントである小倉卓也さんと森屋瑞貴さんに最新事情を聞きました。
※インハウスデザイナー:制作会社やデザイン事務所ではなく、事業会社に所属するデザイナー

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小倉 卓也(おぐら たくや)

マスメディアン
RA1部 副部長
国家資格キャリアコンサルタント

転職希望者・求人企業の双方を支援するコンサルタントとして約20年、3000名ほどの転職を支援。特にクリエイティブ職種への知見が深く、ある広告制作会社では累計50名以上の紹介実績を持つ。「誠実な対応」をモットーに、現在は企業の採用ニーズに応えるリクルーティングアドバイザーとして、広告業界の採用成功に尽力する。激辛料理とアニメ、プロレス観戦をこよなく愛する2児の父。

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森屋 瑞貴(もりや みずき)

マスメディアン
CAチーム チームリーダー
国家資格キャリアコンサルタント

マーケティング・クリエイティブ職専門のキャリアコンサルタント。元コピーライター志望でクリエイター・マーケターを支えることに強い情熱を持ち、広告、コンサル、メーカー、フィンテック、モビリティ、飲食など幅広い業界への転職をサポート。関西オフィスへの赴任を経て、現在は本社のキャリアアドバイザーチームのリーダーに着任。「一人ひとりの『らしさ』を武器にするキャリア選択」を大切にしながら、日々転職希望者と向き合い、企業とのマッチングを支援する。

インハウス志向が高まっている背景

「クリエイティブ職全般において『インハウスで働きたい』という希望は年々増加しています。実際に採用企業側でも、インハウスの求人数やバリエーションは増えています」と話すコンサルタントの小倉さん。転職エージェント「マスメディアン」に登録するデザイナーのなかでも、インハウスを志望する方は増加傾向にあり、その理由として以下のような点が挙げられます。

・自分のアウトプットがプロダクトに直結する環境で働きたい
・拘束時間が長くなりがちな働き方から、ライフワークバランスを重視した働き方に移行したい
・ブランドとより深く、長期的に向き合いたい

こうした志向は、特に20代後半〜30代の中堅層に強く見られます。最近は変わりつつあるものの、クライアントワークは拘束時間が長くなりがちです。仕事内容自体にはやりがいを感じつつも、そのような働き方を続けることに対して不安があるようです。

インハウスデザイナー採用で重視される経験

デザイナーの転職を多くサポートする森屋さんにインハウスデザイナーの転職におけるポイントをお伺いすると、「インハウスデザイナーの採用には、クライアントワークの企業とは異なる採用基準がある」との回答。「そのうちの1つが“ブランドの世界観に合わせた制作ができること”です。特に、その企業が展開するプロダクト・ブランドに近い制作の経験があると、評価が高くなります」

たとえば、食品メーカーなら食品のシズル感を際立たせるデザインができるか、コスメメーカーならテクスチャーをしっかり出せるか、ファミリー向けかシニア向けかなど。インハウスの採用は、即戦力性を重視する傾向があるため、これまでに志望する企業のプロダクトと近いジャンルの制作を経験していることや、ブランドの世界観を理解してクリエイティブに落とし込む力があることは、大きな評価基準の1つとなります。

インハウスデザイナーとして採用されるためには、これまでの実績と企業の求めているトーン&マナーが近いことを、ポートフォリオや面接で明確に伝えることが大切です。森屋さん曰く、「実はデザイナーの中には、ポートフォリオに苦手意識をもつ方も意外と多い」のだそう。そのためマスメディアンでは、作品の選び方からページネーション、文字サイズなどの見せ方まで、「伝わるポートフォリオ」になるようアドバイスをすることもあります。さらに、面接の流れや傾向を予測し、アドバイスや対策も行います。

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