アクティブなシニア層に照準 新ムーヴのCMにダイハツの戦略を見た

ダイハツ工業は、軽自動車「ムーヴ(MOVE)」をフルモデルチェンジし、6月5日に発売しました。同社にとっては久しぶりの新型車であり、ムーヴは1995年の発売以降、7代目を数えます。新CMを見て、元SUBARU宣伝部長の岡田貴浩さんはピンと来たといいます。軽自動車といえば地方在住者や女性ユーザーのイメージが持たれがちですが、新ムーヴが見据えるターゲットとは……。

「目利きの世代」で「メリハリ堅実層」とは誰?

ダイハツ新ムーヴの新CMが気になりました。何が気になったかというと、「もう一度、心が動き出す。MOVE ON.」というコピーとともに、山下達郎の楽曲と永井博のイラスト。これはあきらかに60歳代の私のような世代に向けて発信しているはず。

ダイハツのプレスリリースにも、「7代目となる新型『ムーヴ』では、多くの消費カルチャーを経験してきた目利きの世代、中でも合理性とこだわりをもって商品を選ぶ『メリハリ堅実層』をターゲットに設定」と明確に記されています。多くの消費カルチャーを経験してきた世代は、決して若年層ではありません。

軽自動車というとどうしても「地方」「女性」といった先入観があるのですが、実際はどうなのでしょう。全国軽自動車協会連合会の2024年のデータ「知れば知るほどいいね!軽自動車」を見てみます。

軽自動車ユーザー全体の女性比率は64%で乗用車全体の49%と比較すれば高いですが、2024年の軽自動車販売台数155万台を分母に考えると、36%の56万台は男性市場であり、男性ユーザーも決して少なくありません。また、男女含め全体の43%が60歳以上であり、66万台に相当します。

加えて、高齢の軽ユーザーのなんと95%が「次に乗り換えるなら軽自動車」と答えています。昔と比較して保有期間が長くなったりしている影響で、軽自動車全体の需要は一時より減っていますが、日本人の給与が上がらない時代において「軽自動車比率」は2000年の27%に対して今や40%を超えています。

次のページ
1 2
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ