「ファクトチェック編集部」発足も
朝日新聞社は6月13日、「選挙報道の基本方針」を策定したと発表した。6月の東京都議会議員選挙、7月の参議院議員選挙から、報道に新しい方針を適用する。
基本方針では、選挙期間中の報道は基本的に自由であることを再確認し、政党や候補者に不利になる可能性があっても、有権者のためになると判断した場合は、事実に基づいて積極的に報じることなどを明文化している。
また同日に、ファクトチェックの取り組みを強化するために「ファクトチェック編集部」を発足。編集長には、長らくメディアやSNSなどの問題を担当してきたゼネラルエディター補佐の仲村和代氏が兼務する。
新聞各社は選挙期間中の報道を、特定の政党や候補者に偏ることがないように、公平性を重視してきたことが背景にある。しかし政治的公平性と選挙報道の課題によって、インターネット上の偽情報や真偽不明な情報などに対して新聞各社は有効な手を打てなかった。2024年に実施された衆院東京15区補欠選挙、東京都知事選、兵庫県知事選では多くの真偽不明な情報がSNSで拡散され、また一部の政党や候補者が他の候補の選挙の妨げになるといった事象が発生していた。
ファクトチェックをめぐっては、これまでは政治部や社会部を中心に、主に公人の発言の真偽をチェックしてきたが、インターネット上の偽情報や誤情報まで対象を拡大する。SNS上で誤っていたり、真偽がわからなかったりする情報が広く拡散され、有権者の投票行動に影響を与える可能性があると判断した場合、誤っているかどうか、また根拠がないかどうかなどを裏付け取材していく。ファクトチェックの記事は、朝日新聞デジタル版で全文を無料閲覧できる。
朝日新聞が独自に作成した8段階の判定基準
紙面掲載時のワッペン
選挙報道については、日本新聞協会は6月12日に「インターネット選挙報道をめぐる声明」を発表している。選挙の公正を過度に意識するあまり報道量が少なくなっていた点を改め、事実に立脚して積極的に報じることを再確認していた。
