日本テレビは6月20日、人気グループ「TOKIO」の国分太一さんについて、過去にコンプライアンス上の問題行為が複数あったことを確認したとして、出演している番組「ザ!鉄腕!DASH‼」を降板すると発表しました。同日13時から開いた記者会見には福田博之社長が登壇しましたが、問題行為の詳細に関しては「プライバシーなどの観点から配慮すべき点が多く、説明を控えさせていただきます」とノーコメントの連続。その後の報道を見ると、日本テレビの対応について厳しい論調が目立ちます。
日テレの広報対応は何を誤ったのか。そもそも、なぜこのタイミングで会見を開いたのでしょうか。東北大学特任准教授で広報アドバイザーを務める長沼史宏氏に聞きました(以下寄稿)。
日テレの広報対応は何を誤ったのか。そもそも、なぜこのタイミングで会見を開いたのでしょうか。東北大学特任准教授で広報アドバイザーを務める長沼史宏氏に聞きました(以下寄稿)。
なぜ本人ではなく日テレが口火を切るのか?
6月20日の午後、タレント・国分太一氏による問題行為と同氏の番組降板について、日本テレビの福田博之社長が会見を行いました。
この会見が開かれることは、午前11時頃から報道各社が速報を出し始め、筆者を含め多くの記者は「なぜ国分氏本人や所属事務所ではなく、日本テレビが最初に口火を切るのか?」といった疑問を抱いたと思います。また、事の発端は国分氏だとしても、日本テレビのスタッフにも問題行為があったのか?といった憶測や、先のフジテレビと同じような境遇にあるのかとも感じられました。
13時に会見が始まり、その模様は複数のメディアがYouTubeなどでライブ配信をすることに。見ていると、社長が登壇する会見にしては、驚くほどに簡素な会見会場。会見というか記者レクのような環境で、社長が終始起立した状態で進行されていきました。また、残念だったのが、映像が配信された冒頭、司会者と思しき女性の笑い声から始まったことです。緊張感を欠く現場の雰囲気も感じられたので、筆者は一抹の不安を覚えました。
結果的に、その不安は現実のものになりました。
有名タレントによる問題行為であり、キー局の社長が登壇する会見なので、非常に多数の記者が参加したと思われます。YouTubeなどでの生配信を行うことを含め、各社・局とも大きな報道枠を確保し相応の取材リソースを投入して臨んだと思いますが、蓋を開けてみたら撮れ高(取材高)に欠ける非常に内容の薄い会見が延々と続くことになりました。
様々な質問が福田社長に寄せられますが、回答は
「プライバシー保護の観点から、問題行為の詳細についてはコメントできない」
の一点張りです。