ショートムービープラットフォーム「TikTok」は6月30日、アプリ内で商品の販売から購入が可能となるEC機能「TikTok Shop」を、日本で提供開始した。本機能の展開はグローバルで17市場目となり、2024年12月以降で8市場目。日本国内のTikTokユーザーは3300万以上(2025年6月現在)。
「TikTok Shop」の特徴は、外部のECサイトに遷移することなく、TikTok上で購買が完結すること。ブランドやセラー、クリエイターは、ショッピング機能付きの動画やLIVE配信を「おすすめ」フィードに表示することで、TikTokアプリ内のショッピング対応コンテンツを通じて、直接販売できる。
同社はショッピング動画やLIVE配信を通じて、ユーザーがアイテムをその場で即座に購入できる「TikTok Shop」での購買体験を、「ディスカバリーEコマース」と位置付けている。
同機能の提供に先駆け実施されたメディア発表会には、TikTok Shop Japanゼネラルマネージャー 執行役員 邱 開洲氏が登壇。安全対策については、次のように話した。
「知的財産権保護対策を重視し、侵害に関する定義説明や通知作者申請の手順を明記しているのはもちろんのこと、商品掲載前後でも安全対策を講じており、セラーの登録も厳しく審査しています。グローバルでは2024年上半期に要件を満たさない160万社以上のセラー登録を却下し、250万以上の商品を却下しました。また、契約規約違反により累積で45万社以上のセラーを削除し、掲載後に発見したポリシー違反により9万点以上の禁止商品を削除しています」(邱氏)。
TikTok Shop Japanゼネラルマネージャー 執行役員 邱 開洲氏。
さらに、邱氏はTikTok Shopの日本展開における今後の課題としてローカル企業との共創や日本らしいサービスの拡充を目指すことを強調。現在「TikTok Shop」を提供している他の国と比較しても、日本のEC浸透率が低いことから、国内の買い物文化に根付いた機能追加を予定しているという。
また、邱氏はTikTok Shopの日本展開における今後の課題として、オフライン購入の文化が根強い日本において、オンラインとオフラインをどう融合させてどう新しい体験を提供していくかを考えていく必要があると言及。ふるさと納税などライブ配信でどのように地方創生に寄与するかなどが今後の課題だとした。
「日本市場特有の課題として、オフライン依存の流通構造、複雑な価格決定権、ブランディングチームと販促チームの分離などの組織の分断、高い物流費用、そして送料無料を求める消費者心理などが挙げられます。これまで17ヵ国の市場でサービスを展開してきましたが、日本では現在提供しているどの国に近しい動きをするのか興味深いです。ローンチ後ユーザーの声に耳を傾け、日本に根差したサービスを目指します」(邱氏)。
また同社は、「TikTok Shop」におけるGMVを拡大する広告ソリューション「GMV Max」を、7月中に日本で展開することも発表。
オーガニックと広告のトラフィックを結び付けられない従来の広告ソリューションのボトルネックを解決すべく、「GMV Max」ではオーガニックと広告を含むすべてのトラフィックを統合・最適化し、広告制作・配信・予算調整を自動化するとしている。

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