全国の地方銀行61行が加盟する全国地方銀行協会 (地銀協)は、6月18日に公表した「地銀協レポート 第17号」で地方銀行による旅館再生事業などを紹介している。レポートについて同協会 総合企画室は「地方銀行の幅広い取り組みを知ってもらうことが狙い」とする。
新たなチャレンジを紹介
「銀行の仕事」として多くの人が想像するのは、預金や振り込み、企業への融資など、お金に関するものだろう。ところが最近、こうした枠にとらわれない、新たなチャレンジをする銀行が現れている。
地銀協が発行する「地銀協レポート」は毎号、こうした取り組みを紹介している。第17号で紹介しているのは、旅館再生事業とAIオンデマンド型交通事業だ。
事業承継し旅館再生
山口銀行・もみじ銀行・北九州銀行を傘下に持つ山口フィナンシャルグループ(FG)では、県内で最も古い歴史をもつ長門湯本温泉の旅館の再生に取り組んだ。
長門湯本温泉の中心に位置する創業120年の老舗旅館「六角堂」では、後継者不足により、事業承継への課題を抱えていた。そこで山口FGが、宿泊施設運営などを手掛ける会社との共同出資で新会社を設立。同旅館を承継し、大規模リノベーションで再生した。また、事業費の融資、社外取締役の派遣による経営への参画に加え、事業運営に関するコンサルティングも実施している。
地方銀行の取り組みを紹介するページ。
交通空白対策で地域活性化図る
池田泉州銀行などを傘下に持つ池田泉州ホールディングスでは、公共交通機関の維持が困難となり交通空白が生じている地域で、AIオンデマンド型交通事業に参入した。
これは、それぞれの利用者が希望する乗降場所や道路状況などから、AIが効率的な運行ルートを導き出し、目的地まで乗り合い送迎する仕組み。また、地元自治体や事業者などとのネットワークを持つ地方銀行の強みも活かす。地域の事業者に停留所スポンサーになってもらったり、イベント開催に関与してもらったりするなど、地域が一体となり、地域の交通を支えつつ、地域の活性化につなげる。