環境配慮商品の購買意欲は高められるか? 日本総研が実証実験の結果を発表

日本総合研究所(以下、日本総研)は7月2日、同社が組成するコンソーシアム「チャレンジ・カーボンニュートラル・コンソーシアム(CCNC)」による記者発表会を実施。兵庫県、奈良県、京都府、横浜市と連携し。同自治体内の全小学校等に通う4~6年生約53万人 と、その保護者を中心とした生活者に対して、脱炭素行動変容を促す「みんなで減CO2(ゲンコツ)プロジェクト2025」に取り組むと発表した。CCNC2025の参画企業は、下記図の通り。

イメージ 「みんなで減CO2プロジェクト」

「みんなで減CO2プロジェクト」は、日本総研が2023年度に立ち上げた協創型実証実験生活者の脱炭素行動変容を促すことを目指して「教育啓発」と「販促購買」を実現する取り組み。昨年度は大阪府を中心にエコラベルやカーボンフットプリント(以下「CFP」)に関する学習キットの制作・配布や小学校での出前授業、店舗ワークショップ、催事出展などを通じた教育啓発活動と、小売流通の実店舗やアプリを活用した脱炭素学習を含む販促購買キャンペーンを生活者に向けて展開していた。

昨年度の取り組みから、生活者アンケートやインタビューとID-POSデータを組み合わせた結果、下記のような結果が出たという

①エコラベルやCFPを本人の学習、または子どもを通じて学んだ生活者の環境配慮商品の購買意欲は、平均より15~20pt高まった

②子どもが楽しみながら学習行動をする中で、保護者の意識も触発され、購買行動が変容する

③学習と実践を通じた意識・行動変容の効果は一定期間持続する

④脱炭素をテーマにしたキャンペーンであっても、ポイント還元などインセンティブの強いキャンペーンと同程度の集客ができ、学習を実践する場として店舗が機能している

⑤店舗内外での学習・説明機会が、環境配慮商品の販売増加に寄与する

イメージ 「みんなで減CO2プロジェクト」

2025年度はこれまでの実証を踏まえ、連携する自治体を増やしたのが大きな特徴。教育啓発の対象も「環境をテーマとした学習を履修する、全国の小学4~6年生の約17%(約6分の1)」に拡大することで、社会的なムーブメント形成を推進するとした。

写真 人物 日本総合研究所 グリーン・マーケティング・ラボ長 佐々木努氏

日本総合研究所 グリーン・マーケティング・ラボ長 佐々木努氏

また2025年度のCCNCでは、環境配慮×店頭販促の施策検証を精緻化する「減CO2モニター」を組成するとも発表。生活者の脱炭素行動変容を促す施策を効果的に行うためには、行動の要因(教育啓発)と結果(販促購買)を紐づけて分析することが重要であることから、実施に至ったという。
モニターの対象者は、「エコラベルハンター2025」の参加者やCCNCに参画する小売流通企業が実施する店舗・アプリキャンペーンの参加者。アンケート・デプスインタビュー・ID-POSデータ分析を統合的に追跡調査・分析できる体制を構築し、施策検証の精緻化を図っていく。「減CO2モニター」は施策検証のためのモニターであると同時に、脱炭素行動変容の顕在層/予備軍でもあることから、経年的にモニター数を増やしていく予定。

日本総研 グリーン・マーケティング・ラボ長 佐々木努氏は、2025年度の「CCNC」の取り組みについて、以下のように話す。
「CCNCは、脱炭素社会の実現に向けて、愚直に、真面目に、そして時にワクワクを交えながら生活者の行動変容を促していきたいと思っています。
カーボンニュートラルは一部の企業や自治体だけでは成しえない、社会全体の課題です。だからこそ、CCNCは“みんなで”変えていくことを大事にしています。作り手(メーカー)、売り手(小売)、買い手(生活者)が一緒になって、「買い物」を通じて未来を変えるムーブメントをつくっていきます。
CCNCの強みである教育啓発と販促購買を公民連携で一気通貫に展開し、従来分断されていた“教える”と“売る”をつなぎ、より実践的で持続可能な行動変容を促す取り組みをこれからも行っていきます」(佐々木氏)。

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