終戦の日を前に、朝日新聞社は今年も書籍広告企画「戦争と平和を考える」を展開している。8月6日の「広島原爆の日」と15日の「終戦の日」に全国版朝刊へ広告を掲載し、紀伊國屋書店4店舗では8月1日から関連書籍フェアを開催。新聞広告を起点にリアル書店へ接点を広げ、本との出会いにつなげている。
紀伊國屋書店では新宿本店、梅田本店(大阪市)、広島店、長崎店の4店舗で実施。8出版社が選んだ戦争と平和に関する書籍を展開している。
ブックフェアが起点ではない 朝日新聞の広告企画から展開
「戦争と平和を考える」では、朝日新聞社が毎年8月に実施する書籍広告企画が起点となり、紀伊國屋書店で関連フェアを展開している。企画は朝日新聞社が主導しており、ブックフェアは紀伊國屋書店の4店舗のみで実施している。同社によると、社内で確認できた範囲では遅くとも2012年には企画を実施していたという。
朝日新聞社は企画立案から出版社への参加提案、フェアで扱う書目の取りまとめ、店頭パネルの制作、新聞広告の制作・掲載までを担う。紀伊國屋書店は参加出版社の書籍を店頭に並べ、特設Webページでもフェアを告知する。
紙面×リアル書店で差別化 周辺の本との出会いも狙う
8月には複数の新聞社や書店が「戦争と平和」をテーマとする広告やブックフェアを展開する。朝日新聞社は紀伊國屋書店と組む理由について、「紙面×リアル書店の相乗効果」で企画に厚みを持たせ、差別化を図るためと説明する。
店頭では広告企画で紹介した本の購入に加えて、フェア棚の周囲に並ぶ別の本にも目を向けてもらい、書店で本を探す楽しさにつなげる狙いがあるという。
朝日新聞社は企画を続ける背景について、「もはや『戦後』が終わり『新しい戦前』になりつつあるという危機意識が、かつてなく高まっている」と説明。戦争や平和について考えるきっかけとなる書籍との出会いの場を提供することに意義があるとしている。
出版社は新たな読者獲得も模索
ブックフェアで取り上げられた吉川弘文館の書籍。(左)『広田弘毅 人物叢書(新装版)』
:文官で唯一A級戦犯として死刑になった背景を外交史料をもとに位置づけつつ、その生涯に迫る。(右)『アジア・太平洋戦争』:アメリカとの無謀な戦争に突入した理由とは。日本の敗因を検証した一冊。
ブックフェアで取り上げられたブロンズ新社の書籍。(左)『へいわってすてきだね』:6歳少年の詩を絵本に。沖縄発の『へいわと戦争』:同じ人、物、場所を見開きごとに比べ、平和と戦争の違いをみせた絵本。
参加出版社の吉川弘文館は、朝日新聞社から毎年提案を受ける書籍広告企画に参加し、それに付帯するブックフェアにも参加している。今年は6月刊行の伝記シリーズ最新刊『広田弘毅』を、終戦企画にも適した重点商品として選んだ。
同社では読者の年齢層が高く、戦争・平和関連書籍を含めて売れ行きは厳しい状況が続いているという。若手を含む新しい読者の獲得に向け、新たな広告手法を模索している。
ブロンズ新社では近年、平和や戦争をテーマにした書籍の刊行が増加。国内作家に加えてイランやウクライナなど海外作家の絵本も刊行しており、国際情勢を背景に書店の平和関連フェアで取り上げられる機会も見られるとしている。
「戦争と平和を考える 関連書籍フェア」は8月1日から、紀伊國屋書店の新宿本店、梅田本店、広島店、長崎店で順次開催している。




