北川佑佳(中央公論新社 婦人公論編集部/編集・ライター養成講座 総合コース2009年春 東京教室)
健康、家族、お金の問題などの様々なテーマの中で、個人的に最も「婦人公論らしいな」と感じるのが「婚外恋愛」です。
読者の皆さんからの投稿には、実に赤裸々な体験談が綴られています。夫とする時は何も感じないのに、彼には手に触れられるだけで濡れてしまう、とか。一方で、ただ相手を思うだけで涙が出るという人もいました。
女同士のおしゃべりでは決して打ち明けられないけれど、アンケートや手紙は顔が見えないからこそ、思いの丈をぶつけてもらえるのかもしれません。
そうして寄せられた声を誌面に拾い上げることで、当事者の胸のつかえが少しとれたり、同じように秘めた恋をする人が「自分だけじゃないんだ」とホッとしたり、そんな出来事に繋がれば嬉しいのですが……。そしてもちろん、当事者ではない読者にも「こういう恋愛もあるのか」と驚いてもらいたい。
読者がセックスの最中に囁かれた愛の言葉のどこを抽出するべきか。夫にバレた時の修羅場エピソードで、一番衝撃的な投稿はどれか。タイトルやリードをつける際も、どうしたらもっと面白くなるか、ああでもないこうでもないと毎日唸りながら考えています。しかし、必死に考えたタイトルに対して「ダメ。面白くない」と言われることもしばしば(笑)。へこんでいる暇はないので、今度こそという気持ちですぐに考え直しますが、その分、「これでいこう」と認めてもらえた時は飛び上がりそうなほど嬉しいものです。
前職時代は体力と気力勝負の部分が大きく、取材のために1週間ずっと出張でぐったりしたこともありました。「テープ起こし、ラフ、その後は原稿書いて…無理…」と倒れそうな時もあったのですが、何とかなるから不思議です。もうヤダ!と何度思っても、出来上がった本誌を受け取った瞬間、いつも苦労が報われたような気持ちになります。
転職してからは頭を使ってじっくり考える時間が格段に増えました。気になる話題を見つけたら、どういう切り口にすれば反響が得られるだろう、自分にしかできない見せ方はないか、と。そうは言っても、今はまだうまく形にできず、反省してばかりというのが正直なところです。
けれど、私にとって『婦人公論』という雑誌は10年間焦がれ続けた夢の場所であり、編集は死ぬまで続けていくと決めた天職。大好きな場所で、楽しいと思える仕事に、これからも真っ直ぐに向き合って取り組んでいこうと思います。
2月28日はフリーライターの鈴木夏希さんが登場!
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