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アメリカでグッドプラクティスを称える「企業倫理アワード」発表

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一流ホテルや百貨店による食品偽装問題がマスコミを賑わすなか、アメリカでは10月30日、企業のエシカル(倫理的)な行動を称える「全米企業倫理アワード」(American Business Ethics Award)が発表された。

このアワードを主催するのは、産業界の高度でエシカルな実践についての研究、教育を推進する慈善団体、フィナンシャル・サービス・プロフェッショナル財団(Foundation for Financial Service Professionals)で、発表は同財団が開催するイベント「第3回エシカル・ウィーク」で行われた。

今年度の大企業部門を受賞したのは、建築・設計、コンサルティングサービスを提供するAECOM(エーイーコム)。同社は、世界で5万1000人以上の従業員を擁し、100カ国以上の国と地域で業務を行っている世界最大規模の総合エンジニアリング会社だ。

全米企業倫理賞(ABEA)は1994年に設立されて以来、これまでにロックウェル・オートメーション(Rockwell Automation)、キンバリー・クラーク(Kimberly-Clark)、ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)、ジェネラル・ミルズ(General Mills)、ワールプール(Whirlpool)、ヒューレット・パッカード(HP)、エレクトロニックデータシステムズ(EDS)が受賞している。

AECOMアメリカのCEOのマイク・デラ・ロッカ氏は受賞に際し、倫理的行動による信用の重要性とそれを維持していくことの難しさを次のように語った。

「社会における信用を築き維持するために、AECOMの全員が付加的な責任を担っているということは一般に理解されるとことですが、私たちの従業員は、信用というものが価値ある資産であるとともに、当たり前のことではないと知っています」

ABEAは、独立第三者委員会により、ビジネス・エシクスの企業文化を創造し維持する企業が選出される。エントリー企業は「ビジネス・エシクスに関する取締役のコミットメント」「継続的な倫理プログラム」「事業運営における企業倫理の実践」「ステークホルダーへのコミットメント」の4つの基準に関して、詳細かつ広範にわたる調査を受ける。前議長のR.クリフォード・バーグ・ジュニア氏は「すべての基準において高い得点をマークした」とAECOMを称えた。

AECOMでは、倫理的な事業運営のためのサポート・ツールを従業員に配布しており、そのなかには、意思決定のための樹形図(ツリー・ダイアグラム)がある。樹形図のなかには、世界中からアクセス可能なホットラインがあり、従業員が、法や規則に関わる複雑な問題に直面し、判断に迷った際の相談や支援を受け付けている。

また、贈り物や接待などの収賄、インサイダー取引、セクハラ等に関する事例資料も充実しており、従業員が十分な知識や情報を得られるように対応している。エシカル・ウィークのイベントでは、AECOMが従業員に対する倫理教育に使用している映像教材の一部が公開され、来場者とのグッドプラクティスの共有も行われた。

倫理とコンプライアンスのための法律顧問補佐官のスーザン・フランク・ダイバースは「倫理とは呼吸のように生きたものでなければならず、すべての人々がよき企業市民として行動するための企業の文化として、DNAとして深くしみこむべきものでなければなりません。ほかの企業の資産と同様、それが蓄積していくのか、消えていってしまうのかは、どのように運用されるかにかかっています」と述べた。

AECOMは、コーポレート・セクレタリー・マガジン(Corporate Secretary magazine)による、コーポレート・ガバナンス賞のほか、エシスフィア・インスティチュート(Ethisphere Institute)による「世界でもっとも倫理的な会社(World’s Most Ethical Companies)」にも選出されている。

アメリカでは、専門家が中心となって様々な企業倫理の顕彰が行われている。審査を受ける企業は第三者による客観的な評価を受けることで、改善や見直しが行われる。また、受賞企業の情報公開やイベントを通じて、グッドプラクティスのための知識やノウハウが共有されることになる。

日本においても、ポジティブ・サイクルが回っていくための顕彰が必要なのではないだろうか。

※CSR情報を発信するメール・マガジン「3BL Media」および、AECOMのウエブサイトで公開された情報を基にしています。