かりんとうの一斗缶が1000個売れた、なんてお話しすると、「声だけで売るラジオの極意とは?」と聞かれることがあります。でもそんな極意……実はないのです。
ただ心がけているのは、お客様がラジオの前にいらっしゃるのだと想像して話すこと。ラジオ通販番組で話すのは、店内でお客さまを相手に接客をするのと同じです。ですから口角を上げて話します。
「笑い顔で話すのって難しい」と皆さんおっしゃいます。私がお手本にしているのは、知り合いの広報マン。
辛いことでも、困ったことでもいつも笑いながらお話しされていて、困り顔で「あのですね……」と切り出す時も口角がキュッとあがる。その様子に私はよく見とれたものでした。イケメンであることは間違いないのだけれど、その広報マンの周りにはいつも人が集まり、そしてなぜだか困ったことでも上手くいくのです。
この人のように話そう。そう思っていたので、口角をあげて喋るのは最初から苦ではありませんでした。と言っても、緊張で声が震えることはしょっちゅうでしたけどね。
そして、たどたどしいけれど丁寧に伝える言葉は、立て板に水を流すような流暢な言葉より、「自分の言葉で考えて話している」感じがリスナーに伝わるのでしょう。
お客様を想像しながら接客するつもりで口角を上げて話す「へたうま」という私の話術はこうして生まれました。
これは今でもそうですが、実は上手に喋れたときほど、売上はさほどでもないのです。周りから、「森さんて、よく噛んでるのになんで売れるんやろな?」と言われたこともあります。実は「へたうま」ってけっこうコツがいる、難しい技だったりして!?
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