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クリエイター総マーケター時代に生きる僕らのマーケティング

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【インタラクティブクリエイティブマスターコース】特別連載
第1回 「宮崎駿監督の引退会見にみる、心を動かすコミュニケーションの変化とは」
 ――澤邊 芳明(ワン・トゥー・テン・デザイン社長)
第2回 「インタラクティブなクリエイティブの企画の出し方のヒント」
 ――木下 謙一(ラナエクストラクティブ 代表取締役CEO/クリエイティブディレクター)
第3回 「Co−Creative = 協調型プロジェクトのすすめ」
 ――阿部 淳也一(ワンパク代表取締役 クリエイティブディレクター)
第4回 「音楽から考える、理想のクリエイティブ・チーム」
 ――村田 健一(ソニックジャム 代表取締役 チーフプロデューサー)
第5回 「インタラクティブクリエイティブにおける裏の最新技術」
 ――遠崎 寿義(ザ・ストリッパーズ 代表取締役社長/クリエイティブ・ディレクター)
第6回 「朝起きてまず、することは?ーテクノロジーが生活の一部となった消費者にいかに情報を届けるか」
 ――築地 Roy 良氏(BIRDMAN 代表)
第7回 「クリエイター総マーケター時代に生きる僕らのマーケティング」
 ――小池 博史(イメージソース 代表取締役)こちらの記事です


その他「インタラクティブクリエイティブマスターコース」関連記事はこちら

この記事は、「インタラクティブクリエイティブマスターコース」の開講に合わせ、掲載します。

小池 博史(イメージソース 代表取締役)

インタラクティブの制作サイドに立つ僕らにできるマーケティングとは何か、ということを考えた時、僕は『発想する会社!』という本の中で言われている「まずは身近な人たちに聞いてみる」といったことが結構重要になってくるのでは、と感じています。

『発想する会社!』はデザイン・ファーム IDEOのゼネラルマネジャーが書いた本ですが、そこには、自分たちの考えたソリューションが正しいのかどうかということを検証する時に、まずは自分の家族や恋人や友達に聞いてみよう、それでも有効なデータがとれるはずだ、ということが書かれています。

実際に大手エージェンシーのクリエイティブディレクターの方たちと話していても、自分の奥さんや子どもに聞いてみる、あるいはプロトタイプを試してもらう、という方は意外に多いです。

僕自身も、仲の良い友人の誕生会に行った時なんかに開発中の写真共有アプリを使ってみて、友人たちの反応(特に使いづらそうなところ)を後で制作チームに共有する、などといったことは日常的に行っています。

昨年日本版が出版されて話題になったライフスタイル誌「KINFOLK」も “SMALL GATHERINGS”(=身近な人々と身近な場所で集う)ということをテーマに掲げていますが、ローカルコミュニティが線と線でつながり、やがて大きなムーブメントになっていくという流れは、身近なマーケティングがクリエーションに発展していくということと、非常に親和性が高いのではないかと思います。

また、以前友人からニューヨークで「キッチン・テーブル」というワークショップが流行っているという話を聞きました。そこでは、プログラマーやクリエイターなどが小さなテーブルを囲んでディスカッションを行い、そこから新たなプロジェクトやグループが派生したりしているそうです。そうしたコミュニケーションの在り方は、インタラクティブ系制作のワークフローを考えていく際にも、大いに参考になります。

僕らのようなプロダクションでは、デベロップとアダプテーションのイテレーションを早いサイクルでまわす必要があるので、そうした身近なマーケティングの要素を取り入れていくことが大事です。

KOTORI」というカスタムヘッドフォンブランドを立ち上げた時は、自分たちで街に出てリサーチを行いました。クライアントのフォスター電機は技術力があり、音質もとてもいいメーカーです。

ところが技術力そのものをアピールするということはなかなか難しい。そこでヘッドフォンパーツのカスタム販売という切り口を考え、僕らにECサイト制作の話があったという訳です。そうした相談があった時に、僕らの仕事はクライアントのオーダーとユーザーのニーズを橋渡しすること。

具体的には、商品をプロモーションする方法を考え、ユーザーの商品理解を促し、新鮮なエッセンスやインスピレーションを感じてもらいながら購買につなげていくということです。そこがうまくいけば、クライアントとユーザーの双方が満足する “Win-Win” になりうる。そのためには単純にサイトを作って納品するだけではなく、その前段階から提案する必要があると思いました。

そこで僕たちは原宿や表参道に行き、ヘッドフォンを使っている人たちの年齢層や趣向、生活サイクルなどを観察し、セグメントしたグループ別に「こういう生活をしている人は、こういうものを欲している」という仮説を立てていきました。

さらにクライアントを説得するためには、ツールと共にブランド名の語感やロゴのデザイン、ユーザーが商品に触れるコンタクトポイントまでを設定し、提案する必要があります。

クライアントにはそのリサーチ結果を見せつつ、プロジェクトを成功させるためにはもっとユーザーのことを知る必要があるということを説明し、リサーチからデザイン、PRまでを一緒に考えていきませんか、というプレゼンテーションをしました。商業的に成功させ、継続的に仕事を生み出していくためにも、マーケティングは重要です。

マーケティングでわかったことを効果的にプロモーションするためには、「いつ」・「どこで」・「どのように」情報を出すか、といったコンタクトポイントの設定も手を抜けない部分です。

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