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コラム

コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常

なぜあなたは、コピーを書くのですか。

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[寄稿者一覧はこちら]

【前回の記事「人生は、時々うまくいく。」はこちら】

栗原勲(大洋印刷 クリエイティブディレクター・コピーライター)

「なぜあなたは、コピーを書くのですか?」

この言葉は僕の言葉ではなく、師匠の中村禎さんの言葉です。コピーは、目的とするものが伝わってはじめてコピーとなる。目的がなければ、その言葉はコピーではなく自己満足の作文だ。という教えなのですが、僕はもっと大きくも捉えています。この社会にたくさんの職業がある中で、なぜコピーライターをやるのかという問いに思えるのです。きっと禎さんもそういう想いで僕らに投げかけたのではないでしょうか。

両親が新婚旅行へ向かう前の一枚。僕はこの二人の遺伝子を引き継いでいます。

さて、最終回です。初回でも書いたように、このコラムは30代半ば以降の方へ向けて書いてきました。それには理由があるのです。たくさんの名コピーライターの方々が言うように「コピーは自分の中からしか生まれない。」ということを、コピーを書いていると実感します。それなら経験豊富な人こそ、いいコピーの種を持っていることになる。そう思っておじさん世代に向けて、コピーライターへの道をオススメしてきました。でもコラムで何を伝えようかと考えているうちに気づいたんです。このコラム、誰かに向けてじゃなくて、なぜ僕がコピーを書くのかを確かめるために書いていたんじゃないかと。

僕にとってのコピーは、人生を使って生産する言葉。自分の体から生み出される言葉。今まで出会ってきた人との会話や経験から出てくる言葉。親から引き継いだ、遥か昔からつながってきた遺伝子が言わせる言葉。

生み出すのは自分ひとりの作業だけれど、その一行にはたくさんの人が乗っているんですよね。

全4回、ありがとうございました。どこかでお会いできたら、感想などを聞かせてください。いや、やっぱりやめておきましょう。

大げさかもしれません。でも、この仕事を始めてからそう思えてならないのです。良いことも、悲しいことも、憎悪さえも、生きてきたすべてがムダになっていないように思える。すべての体験がポジティブに置き換わる。そんな幸せな仕事なんじゃないかと。そしてそれを生業として誰かのために使えるなんて、素晴らしいことです。だからきっと、僕はコピーを書くのです。このコラムの寄稿を通じて確認できました。

真夜中に書いたラブレターのようで、青臭くてはずかしい文章ですね。でも素直な今の気持ちを残して終わりたいと思いました。読んでくれた方、激励してくれた方、ありがとうございます。退屈させてしまった方、失礼いたしました。これで終わりですので。
ああ、でもこれこそ、自己満足の作文ですね。


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栗原勲(くりはらいさお)
大洋印刷所属 クリエイティブディレクター・コピーライター。印刷営業を12年経験した後、WEBディレクターを経てコピーライターに。グラフィック制作、WEBサイト制作を中心に、ムービーや展示会のディレクションも。2013年には宣伝会議 編集・ライター養成講座の講師も務める。受賞歴は、2013FCC新人賞・SPBSコピー塾第一回コンペティショングランプリ他。
宣伝会議コピーライター養成講座基礎99期、上級2011年春、9代目中村組、石川・岡本・玉山クラス10期を修了。

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