【前回のコラム】「「リーダーは育てるというより“自然となっていく”もの」——ボーダーズ 萩野社長に聞く」はこちら
このコラムでは、企業のトップに対して、人材育成について考えていることや実践していることを聞いていく。その中で、「マーケティング思考ができて、なおかつ実際に行動に移すことができる人材」を育成するにはどうすればいいのかを探っていきたい。
今回は、本年1月1日にアドバタイジングドットコム・ジャパンから社名変更したばかりの、AOLプラットフォームズ・ジャパンの代表取締役社長である花崎 茂晴氏に聞いた。
AOLプラットフォームズ・ジャパン 代表取締役社長 花崎 茂晴 氏
ポジションを与えれば責任感が高まる
——貴社がリーダーに対して“求めている力”とは、どのようなものでしょうか?
相手に信用してもらって、「この人について行こう」と思えるリーダーになるためには4つの要素があると考えています。一つ目が「プロフェッショナルであること」。テクノロジーや業界の流れ、トレンドや将来が見えているかどうかなど、俯瞰的な視点とともにその分野プロフェッショナルであることが大切です。
二つ目が「コミットメント」です。お客様や社内に対して、しっかりと「自分がやります」と明確に意思表示したうえで、やるべきことをしっかりとこなしていくことが大事です。
三つ目は、内面的なことですが「パッション(情熱)」でしょう。どちらかと言えば、冷静沈着なタイプよりも、感情もある程度出して目標に向かっていくような、人を巻き込む熱意が、グループのマネジメントや会社経営には必要だと思います。
最後、四つ目が「透明性」で、私はこのことが最も重要と考えています。自身がどのような仕事をしているのかを示すのはもちろん、部下に対する評価でも、ミッションとその達成度合いを明確に示し、伝えられなければいけません。
われわれのような業界は特に結果重視の風潮が強いと思いますが、私は必ずしもそうではないと思っています。リーダーとなるような人は部下の結果だけを見るのではなくて、そこに至るまでのプロセスをしっかりと見て、プロセスがきちんとできていれば、そこは評価するべきだと思います。また、この四つは私自身が注意している点でもあります。
——その四つの力を伸ばすために行っていることはありますか?
私は、「ポジションが人をつくる」と考えています。2014年の6月に私が社長に就任した際は、当社の組織は各部に部長がいて、その下がフラットという状況でした。もちろん、フラットであることの良さもありますが、リーダーになっていこうという人からすると、自身のステップアップの道が「一般社員、部長、社長」しか見えないというのは問題だと感じました。それで10月より「ユニット制度」を導入し、「ユニットリーダー」というポジションを新たにつくりました。導入して3カ月ほど経ちましたが、ユニットリーダーになった人は、明らかに以前と比べて責任感をより強く持って仕事をしています。それを見ていると、やはり「適切なポジションを与えることで、人はより成長していく」のだと実感します。
「企業トップが語る“次世代リーダー”の育て方」バックナンバー
- 「自分が感動できるような仕事をすること」——Kaizen Platform, Inc. 須藤CEOに聞く(2015/8/26)
- 「『俯瞰で捉える力』を生かしプロとしての専門性を高めてほしい」——メジャース 山本社長に聞く(2015/7/07)
- 「プロとしての誇りを持ち、もっと自らを肯定して仕事に臨んでほしい」ーベクトル西江社長に聞く(2015/6/10)
- 「新卒研修を半年実施し高い目線で考えることを学ぶ」——ネットプロテクションズ 柴田社長に聞く(2015/5/22)
- 「与えられたポジションに対して力が足りないほど、その差を埋めるスピードはあがる」――エンターモーション 島田社長に聞く(2015/4/30)
- 「“べき”ではなく“たい”が新しい価値を生み出す」——インフォテリア 平野社長に聞く(2015/4/20)
- 「創造力を駆使して顧客に期待以上の提案ができるか」——ビートレンド 井上社長に聞く(2015/4/07)
- 「情熱をもって行動し、その熱量で周囲を引っ張っていけるのがリーダー」——カタリナ マーケティング ジャパン 若林社長に聞く(2015/2/26)
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