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コラム

社内ベンチャー奮闘記 ~新しい広告ビジネスを目指して

「時計の針」

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文:小林パウロ篤史



MediaJUMP設立(2011年4月7日)から2カ月が経過しようとしている。
年初の準備期間から数えて、もう半年を迎えようとしている。

ここのところ、ソーシャルメディアとどう対峙していくか? 連動するのはフェイスブック、ツイッターだけで十分か? など、など、開発会社のスタッフと協同で七転八倒しながらサイトの中身を詰めては崩し、崩しては詰め……の繰り返し。それも大分固まり、いよいよリリースに向けて、最終段階を迎えています。

Webサービス開発は不思議なもので、答えが無い上に、日々新サービスが出現するので、その日に決定したことが、一晩で「なぜ、あんな決定したんだ?」と思うほど陳腐化したように感じてしまう。そんなスピード感の毎日。

今、パウロと糸永がむかえているこの毎日は、きっと自分の人生を振り返ったときに分岐点だったと思えるほど大切な、愛おしい時間。

今、生まれて来てよかったと実感している。
今、この今のため、ずっと生きてきたと思える。

お恥ずかしい話なのですが、齢36歳の今の今まで、ずっと「生きている実感」を感じていなかったのかもしれない。つまり、「やりたい事」があるような、ないような。ぼんやり。
恐らく、傍目からはリア充なのですが、心の中はいつも、ぼんやり。

大学時代に起業した先輩を見ると、うらやましい気持ちは起こるも、「何がうらやましいのか」がよく分からない。とりあえず「起業」している事がうらやましくて。
でも、自分も「起業」しているイメージは湧くものの、「何を売っているのか」さっぱりイメージが湧かない(笑)。

そのまま就職活動に突入して、「取り立ててやりたい事がない」ので、「取り立てて何でもやれそうな」総合商社へ。そして「若い勢い」で博報堂DYグループへ。

広告業にどっぷり浸かること11年。
気がつくと、30代も中盤になってきて。

あれ? 会議の参加メンバーで「俺が最年長」が多くなってる?
あれ? いつまにか「パウロ」(呼び捨て)よりも「パウロさん」って呼ばれる方が多くね?
あれ? いつまにか「幕末の志士」達よりも年上になってね?

ぞっとしました。ぞぞーーーっとしました。

自分はまだ、何もなし得てなくて、それよりも「何をしたいのか」すら見つけていなくて。
太宰風に言えば、「ただ、一さいは過ぎて行きます」になっていくような感覚。
始まってもいないのに、終わってしまうのか、という恐怖感。

そんな時に、「見つけた」。

というよりも「出会った」、という表現の方が正しい。
いや、違うな。「たまたま偶然、そこにあった」がもっとしっくり来る。

「あした、何しよう?」を解決する、という事と,そこで得られる「ライフログ」をビジネスにしてゆくこと。たまたま偶然、「それ」はそこにあった。「それ」に気がついたとき、「ぼんやり」した視界は開け、明確に見えた。

そしてもうひとつ気がついた。
今まで「ぼんやり」しながら得ていた知見や人脈や経験に、何一つ無駄なモノがなかった事を。

なんというか、つまり、「ぜんぶ目の前にあったんだ」、と思う。
でも見えていなかった。ぼんやりとしか。でも、目の前に確かに「それ」はあった。

それが突然、視力回復の手術を受けて見えるようになったように、明確になった。
人間の「運」や、「縁」の不思議を感じてならない。

今、パウロを突き動かすもの。
それは自分の使命に気づいた事に対する感情の高ぶり。

最後に。パウロの座右の銘をひとつ。

『時計の針は元には戻らない。だが、自らの手で進める事は出来る』by 碇ゲンドウ

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