文:糸永洋三
「パウロさん、糸永さんが、博報堂DYグループの自社事業としてやるなら、ぜひ、一緒にやりましょう」
大手出版社との協業が決まった瞬間だった。
自らが投資をし、リスクをとる、自社事業として取り組む、という今までの「広告『代理』店」業にない我々の覚悟を先方の担当者が意気に感じてくれた。この協業決定を皮切りに、システム開発、アプリ開発、UI開発、コンテンツパートナー開拓、とさまざまな社外パートナーとの連携を日々進め、新しいWeb自社サービスの開発を、現在進行させている。
勤務12年目に、会社からベンチャー企業経営のチャンスをもらった。グループ横断の「AD+VENTURE(アド+ベンチャー)」という起業・新規事業開発プログラムを通じて、プレゼンを繰り返し、結果、実際に会社を設立するチャンスを獲得。総合広告会社の一現場社員から、株式会社Media JUMPの新米社長に文字通り、「JUMP」した。
博報堂に新卒で2000年に入社、営業7年、博報堂DYメディアパートナーズで主要インターネットメディアのメディアセールス、商品開発などを4年間担当。「博報堂DY」という看板で、制作から媒体のさまざまな業務を多くの社内外スタッフと協働し、まさに「広告会社の営業」としての醍醐味を満喫し、充実した日々を送ってきた。
しかしながら、一昨年あたりから、「自分にとって何かが足りない」と気付きはじめる。
それは、「代理」業としてはなかなか味わうことができない事業に責任をもってかかわる「主体感=事業主」であることを体験したい、と強く思うようになったためだ。広告会社の11年間の経験・知見を活かして未知な領域へのJUMPができないか、と。事業の主体となる、それはしっかりリスクをとり大きなリターンを狙うこと、「自社事業=自社メディア」を構築し運営すること、そして新しい領域でのビジネス構築のチャレンジャーとして博報堂DYグループ内における試金石になれないか、そう強く思った。
この決意の背景には、ほかにもいくつか理由がある。そのひとつは、業界の中で競合状況にあるサイバーエージェント社の存在だ。自社メディア事業「アメーバ事業」を立ち上げるにあたり、累積60億円にも及ぶ先行投資を背負い、その覚悟をバネに事業を成長させた。そこから得た経験やナレッジは計り知れないだろう。このことからも、従来型のビジネスモデルから脱皮し、新たな成長戦略を作っていかなくてはならないという強い危機感を抱いた。
我々Media JUMP社は、広告業界の「既存モデル」以外へのチャレンジを実行していく。その第一弾のJUMPとして、「あした、何しよう?」を解決するWeb情報提供サービスを開発しており、夏ごろにリリース予定だ。本コラムでは、このWebサービスのビジョン、開発過程なども「生」レポートしていく。
社内ベンチャー奮闘記 ~新しい広告ビジネスを目指して バックナンバー
「社内ベンチャー奮闘記 ~新しい広告ビジネスを目指して」バックナンバー
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