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演出振付家であるMIKIKO氏は、「Perfume」「ELEVENPLAY」「BABYMETAL」などの数々のアーティストを担当してきた。特にPerfumeの演出振付では既存の照明、映像、レーザーなどの視覚的な演出のみならず、ウェブサイトやモバイルアプリで収集したデータをライブ映像に重ねるなど新たなエンターテインメントの領域を切り開いている。MIKIKO氏、ライゾマティクスの真鍋大度氏、電通 菅野 薫氏の3名が身体とテクノロジーを駆使する新しい演出方法を語り合った。
ステージからMVまで演出する「演出振付家」
菅野:
MIKIKOさんをPerfumeの振付師として知っている方は多いと思いますが、「演出振付家」としてステージやMVなどの総合演出をされていることは知らない方も多いと思います。はじめに、演出振付家とはどんな仕事ですか。
MIKIKO (以下 M):
ライブや舞台の中で、振付だけでなく、全体を見ながら総合的な演出を手掛けています。
菅野:
きっかけは、2005年に広島で行ったご自身の初舞台「DRESS CODE」だそうですね。
M:
私は広島出身で、この頃はまだ広島を拠点に振付の仕事をしていました。演出家としてやっていきたいと思い、地元でメンバーを集め会場を借りて初めて舞台を作ったのが「DRESS CODE」です。アミューズ会長の大里(洋吉)会長が見に来てくださっていて、東京で本格的に演出をやった方がいいと背中を押していただきました。東京に拠点を移し、その後、世界に通じる技術を勉強するためNYに留学しました。そこでセリフも歌も一切なく、ノンバーバルな身体の動きだけで、ストーリーを伝えていくパフォーマンス「フエルサブルータ」に出会い、こういうものを自分はやりたかったんだ!と感じたんです。
菅野:
それが演出振付家としての方向性が決まったタイミングだったんですね。Perfumeの3人との出会いはいつだったんですか。

