【前回のコラム】「自意識をこじらせている人は、ライターになる素質がある」はこちら
なんでも書ける人なんかいない
皆さんは、何を書きたいですか?編集・ライター養成講座には、書きたいことが決まっていないけれど、何かを書きたいと思って受講している人もたくさんいます。
「なんでも書けるようになりたい」
なんにもできないくせに理想の自分像だけは高い、自意識をこじらせたアホな私は、そう考えていました。今思い出すと、砂場に埋めて踏んでやりたいくらいに腹が立ちます。
心が動かないことは書けませんし、書いてはいけません。文章には、顔以上に心が出ます。書き手の感情が、性格が、行間ににじみ出ます。白けた思いが、無表情が、ナメた態度が、全部全部あらわになります。絶対に隠すことができません。
では、心が動かなかったらどうするか。心が動くまで、書くべき対象について知りにいくんです。調べて調べて調べまくって、その対象のことを好きで好きで、「こんなに好きなことを皆に教えてあげないと、もう、死んでも死にきれない!」って状態になるまで知りにいくんです。そうすると、書かざるをえなくなりますよ。
それでもまだ、何を書いていいのかピンときませんか?自分は、どんなことに心が動くのか、まだよくわからない。そういう方は、朝日新聞出版の尾木先生の講義で教えてもらう、あるメソッドを実行してみることです。『口伝』だとおっしゃっていたので、ここでその方法を書くことはできませんが、私はやりました。1年半たった今でも、まだ続けています。あの日の受講生の中で、本当にやりきったのは私だけのはずです。だから、今があるんです。
「編集・ライター養成講座修了生が語る いまどきの若手編集者・ライターの生き方」バックナンバー
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