Resilience——生き残るのは、本質を徹底的に追求したビジネスのみ

「宣伝会議」12月号(11月1日発売)に、ニューヨーク視察研修ツアーのレポートを掲載します。視察から見えてきた米国広告ビジネスの今、そして日本の広告界がめざすべき方向性を5つのキーワードで捉えます。こちらも、ぜひご覧ください。

(執筆者)

  • 博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所 上席研究員 TBWA \HAKUHODOタッチポイントエバンジェリスト 皆川治子(みながわ・はるこ)

 


Advertising Week(アドバタイジングウィーク)の報告を、他のイベントの言葉で始めるのもなんだが、「Resilience – resistance and refuge-」は、 今年の「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」

※1

で聞き、印象に残った言葉だ。

変わり続ける世の中で、「Sustainability(サステナビリティ:持続可能性)」はロマンチックな言葉だ。5年後、10年後も変わらないものなんて、あるのだろうか。そこで問われるのが「Resilience」。回復力と直訳されるが、「resistance and refuge(抵抗と保護)」と一緒になると、本質を追求する意味合いが感じられる。

例えば、シリアからの難民。シリアを逃れ難民キャンプに入ると、多くはそこで10年以上暮らすことになるという。国際社会から提供される均質化された物資があり、命と生活は保障されるが、人としてのアイデンティティはどうなるのだろう。部族ごとにあった生活習慣が、あっという間に失われていく。人が尊厳を持って生きていくために、最低限守らなくてはならないこととは何なのだろうか。逆境において形を変えながら回復するときに、変わってはならない本質とは何なのだろうか。

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