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コラム

いま社会課題に必要なマーケティング・コミュニケーション実践論

NPOがメディアに取り上げられるための10カ条

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【前回記事】「ツッコミどころ満載の「あなたの過去を引き取ります」でバズを起す」はこちら

NPOをはじめとする非営利組織の最大の課題、マーケティング・コミュニケーションについて、3人のプロたちがさまざまな手法を指南するリレーコラム。最終周の一人目、井出留美氏が語るメディアに取り上げられるための10カ条とは。

民間企業で14年5カ月、NPOで3年間、広報を務めてきました。企業とNPOとの違いも肌で学びました。その経験から、NPOがメディアに取り上げられるためのtips(ヒント)を10カ条にまとめてみました。

1、「良いことやってる」(からOK)という意識を捨てる

NPOや任意団体に時折見られるのは「自分たちは社会にとって良いことをやっている」という強い自負です。それは、とても素晴らしいことなのですが、ともすれば、自分の組織しか見えなくなってしまいます。自分目線だけでなく、相手目線、ひいては社会の目線を持つこと。それは、すなわち「メディア目線」を持つということ。したがって、メディアにとっての興味を惹きつけることになります。

片脚は自分の組織に、もう片方の脚は社会に置くような意識の持ち方が大事です。

2、数字を意識する

NPOの活動について、20名くらいの経営者の前でプレゼンテーションしたことがあります。終わってから「資料に数字がたくさんあってよかった。NPOに足りないのは数字」との言葉をいただきました。数字とは、自分の組織に関すること(実績)はもちろん、自分たちの活動にまつわる分野の社会的なものも含みます。貧困に関する活動をしているのなら、貧困層の人数、世界銀行が定める「絶対的貧困層」の収入の数字、など。

3、メサイア・コンプレックスに要注意

自分自身に価値を感じられないため、人から感謝されるようなことをして自分の価値を感じようとする。これは抑圧された強い劣等感に拠るもので、「メサイア(救世主)・コンプレックス」と呼ぶそうです。(出典:『プロカウンセラーが教える 場面別 傾聴術レッスン』古宮昇著、ナツメ社)

本人は善意でやっていても、相手の気持ちを無視してしまい、まわりが迷惑と感じる親切の押し売りをしてしまう。過剰な理想主義に走ってしまう。となると、本業の活動が上手くいかなくなる。組織内外の人間関係もぎくしゃくしてくる。これではメディアの取材を受けるどころではありません。1とも通ずる話です。

4、現場に投入するのと同じくらい、社会に知らしめることに比重を置く

NPOに携わる方は、現場に携わることが好きな人が多く、事務作業や広報は二の次になってしまう場合があります。でも、「知らせる」ことをしなければ、誰も知ってくれません。「誰も自分たちのことを知らない」前提で、できるところから知らせていくこと。SNSやメールマガジンを活用した具体的な「知らせる」方法については、このリレーコラムで、長浜さんや鎌倉さんが解説してくださっています。

5、キーワードは団体名ではなく「社会的課題」

社会に知らせるのが大事だからといって、まるで選挙カーのように団体名を連呼する場合がありますが、これはNG。メディアは、あなたの団体名が知りたいのではなく、あなたの団体が解決しようと必死に取り組んでいる社会的課題が知りたいのです。貧困、教育、栄養不足、住居、女性、など・・・。

プレスリリースやSNS、メールマガジンなどで活動を知らせる場面では、団体名より、むしろ組織が取り組む社会的課題をメインに打ち出していきましょう。そうすれば、次は自然と団体名の告知につながっていきます。

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