【前回】「鈴木健×田川欣哉×佐渡島庸平「イノベーションが加速する時代にコンテンツのつくり方はどう変わる?」【前編】」はこちら
鈴木健さんは日米を拠点としたニュースアプリ「SmartNews(スマートニュース)」の共同創設者。その著書『なめらかな社会とその敵』は、インターネット誕生後の複雑化する情報社会における人間や社会の生態学的進化の可能性を示し、「SmartNews」の急速な拡大、成功と共に注目を集めてきた。鈴木さんとtakramの田川欣哉さん、コルクの佐渡島庸平さんは、プログラミングとアート、コンテンツと新しい流通、ビジネス開発プロセスなど、大きなテーマでの関心が重なり、これまで対話を続けてきたという。後編では3人それぞれの「コンテンツの定義、つくり方」をめぐるトークをお届けする。
身体性、操作性がコンテンツの重要なファクターになる
佐渡島:
一口に「コンテンツ」と言っても、僕たち3人のイメージするものは全然違うかもしれません。お2人は、どんなコンテンツが重要で、これからコンテンツはどう変わっていくと思いますか?
鈴木:
コンテンツは中身という意味なので、箱であるコンテナの形式が定まって、初めてコンテンツと呼べるわけです。今はコンテンツとコンテナの境界線があいまいで、よく分からないんですよね。
多分、何かをクリエイトする人たちは、作品そのものをつくっているわけではなくて、作品を通じて、それを見たり聞いたりしている人の中に、ある感覚を引き起こそうと意図しているはずです。僕が本を書くときもそう。そこでどんな新しい感覚を生み出していけるかが現代のチャレンジです。
社会が「こういう見方でものを見なさい」と決めつけた感覚を開放したい。そのために「コンテンツ・コンテナ」を超えたコンテンツやプラットフォームのテクノロジー、デザインの方法が模索されているのです。
田川:
僕が扱っているのは人工物。つまり、道具と環境です。特に道具については、人間の身体性と近いところに妙味があるので、今の話はとても気になります。

