デジタルマーケティングが経営の重要なファクターになる時代、米国ではコンサルティング企業による広告会社(エージェンシー)買収の動きが活発化し、多くの企業が広告領域に進出している。AdverTimesでは、その動向を6回にわたってレポートする。最終回は、IBMの工藤晶氏に広告会社との関係と、社内にデザイナーを抱える理由について聞いた。
Q.日本IBMにおいて、IBMインタラクティブ・エクスペリエンス事業の果たす役割とは?
私が属する「IBMインタラクティブ・エクスペリエンス」は、徹底した顧客志向を基に、お客様の顧客体験を向上させるために培ってきた「IBMデザイン思考」を活用し、クリエイティブな戦略立案から全社システムの構築までの支援をしている。この部門が日本で本格稼働を開始したのは、2015年の1月からだが、それ以前にも1996年から「IBMインタラクティブ」という組織があり、ここが前身になっている。
私たちのコンサルティングのベースになるのは「エクスペリエンス・ドリブン・トランスフォーメーション」という考え方だ。こうした考えは、1996年のアトランタ・オリンピックの際のデジタルエクスペリエンスデザインをIBMが手掛けたところから始まっている。
現在は、顧客の体験デザインが経営において、ますます重要になっているし、デジタルだけでなくフィジカルも含めた顧客体験のデザインが求められている。顧客の体験を中心に企業変革を支援するのが私たちの役割。決して、マーケティング領域だけに限った話ではないが、相談の中で、マーケティングに関わる案件は増えている。対応するのはトラディショナルな戦略コンサルティング的な仕事から、ITソリューションを導入したデジタルマーケティングやデジタルキャンペーンのプランニングまで多岐に渡る。
