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会議賞最終審査員が応募者だったら? — 素人目線で考える取り組み方

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9月16日、第54回宣伝会議賞の最終審査員による座談会が開催された。参加したのは、磯島拓矢さん、岡本欣也さん、三井明子さんの3名。「自らが応募者だったら?」という視点で、「コピーを書く際の考え方」や「宣伝会議賞ならではのコピーのつくり方」が語られた。

 

「書ける」ことの証明として利用する

磯島:電通に入社したばかりの1、2年目の頃に宣伝会議賞に応募した記憶があります。何らかの形で「クリエイティブやコピーライティングに向いているんだ」と証明したいけれど、仕事以外で「コピーが書ける」ことを証明する場がなかなかなかった。いくつくらい応募したかな…せいぜい10くらいだったと思います。

三井:私も、コピーライターとしてのキャリアをスタートさせてから、何度か応募しました。コピーライターへの転職活動をしていたときに、なかなか決まらず苦労した経験があって。だから、磯島さんと同じく「このくらい書ける」という証明に宣伝会議賞の実績を活用したかったんです。そういう姿勢で臨むくらいが良いのかもしれないですね。

オカキンコピーライター/クリエイティブディレクター 岡本欣也 氏

岡本:僕はまったく応募していないんです。どちらかというと懐疑的に見ていた(笑)。ただ、振り返ると若い頃には、広告やコピーを学ぶための学校に通った経験があります。そのときの、課題をやるときのわくわく感というか、「やるぞ」という気持ちは、今でも覚えているんですよ。コピーをああでもない、こうでもないと考えている時間は最高に楽しい。だからこそ、こういう仕事に就いたわけで。一方、宣伝会議賞は応募数に価値を見出そうとしているところがある気がします。数を書いて満足するだけではなく、質を重視し、「とっておきの一本」を見つけることも大事。だから、皆さんも、そういう「考える時間」を楽しめば良いんじゃないかと個人的には思います。

—もし今、みなさんが応募する立場になったとしたら、どんなことに気を付けますか。

磯島:「どの課題を応募しようかな」と迷っている時間が一番もったいない。だから、いっそ全部やるか、目をつぶって10課題を選んで挑戦するなどしたほうが良いと思います。例えば、皆さんは生活の中であまり接点を持ったことのない企業の課題は敬遠しがちだと思うんです。

一般的にあまり知られていない、世の中に出ていない企業のコピーは難しいのではないかと。でも実は、世の中にとって新しい企業のほうが、大きな枠組みのコピーを書くチャンスだと思うので、狙い目なのではないかと思いますね。

アサツー ディ・ケイコピーライター/クリエイティブディレクター 三井明子 氏

三井:もし私が応募するなら、「ラジオCM」ですね。キャッチフレーズって、どうしても他の人と被ることが多い。審査していると、「これ良いな!」と思うものでも、被ってしまっているコピーが少なくないんです。でもCMでは、他の人と全く同じになるということは、ほとんどないですから。

岡本:逆に僕なら、徹底的にコピーをやる。審査を通るためのメソッドがあったら、僕が聞きたいですよ。「1本応募して受賞しました!」という人はまずいない。

書き続けられる人が「コピーライター」なんですよね。皆さんも、好きで挑戦するのであれば、その「好き」の量を、コピーを書
く時間に充てていけば良いと思います。

数を書くことに満足するな

岡本:とはいえ、数を書くことだけで満足している人が多い印象も受けています。

数を書くというのは、コピーを真剣に書こうと思っている人たちにとっては当たり前のこと。ですから、自分の中で精査して、捨てるものは捨てるという姿勢で書いたほうが良いのではないかな。自分が確信を持てない作品が審査を通ることはまずない。もっと良いもの、もっと良いもの、と捨てていった先に、新しい発想があるのかもしれません。

電通クリエーティブディレクター/コピーライター 磯島拓矢 氏

磯島:それを実践するのは、とても良いと思います。どうしても、横へ横へと、発想を広げていく作業になってしまいがちですから。「このクライアントだけに言えることなのか」「実はクライアントは、こういうところを気にしているのでは」と一度立ち止まって考えてみるのは有効だと思います。

三井:確かに、審査をしていると、応募されている方の中でも、自分の中で深める方法を知っている方と、まだその方法をわかっていないのだろうなという方がいるのを感じますよね。だから、書いたものを第三者に見てもらったら良いのではないかと思うんです。

三井:コピーそのもので伝わらなければいけないのに、企画意図の部分で補足しようとしている方がいたりして。そのあたりのことって、一人でずっと書いていると、だんだんわからなくなってしまうのだと思うんですよね。

岡本:数を多く書くのはスタートラインに立ったようなもの。そこから人と違う何をするか。そこで差がついてくるのではないかと思いますね。

次ページ 「一等賞になる「運」があるかどうか」へ続く