連載12回目を迎えた本稿では、いよいよ「広告の終わり」について考えてみなければならない。
というのも、つい最近、私たちは2つの刺激的な論に出会ったからだ。
ひとつは、ご存じ田端信太郎氏による「オーケー、認めよう。広告はもはや「嫌われもの」なのだ — LINE 田端信太郎 」だ。
もうひとつの論は、米国の調査会社Forrester Researchが公開したレポート「The End Of Advertising As We Know It(私たちが広告として知っているものの終えん)」だ。同レポートは有料であるため、概要を知るにはLaurie Sullivan氏「The End Of Advertising」を参照するのも良いだろう。
これらの論は、いずれも私たちが所与としてきた「広告」という存在を疑うべき段階に入ったことを伝えている。
「嫌われもの」とは何か
まず、田端氏の論に触れておこう。ポイントは広告というものが、商業コンテンツの中心に座り続けることで消費者にとって重要であった時代が終わり、その意義が疑われるようになった。これが広告が「嫌われもの」へと転落する、言い換えれば「広告の終わり」という事態を引き寄せる動因だとする。
では、何が変わったというのか?
商業コンテンツ以上に重要な「自分の親しい友人や知人、彼氏彼女」との会話というコンテンツが、消費者の眼前に誕生したからだ。それが広告と親和性の高い商業コンテンツにとって、最大のライバルになったというわけだ。
一方のForresterレポートは、広告の終わりをどう位置づけているのだろうか? Sullivan氏はこう要約している。
消費者は自分の邪魔をする相手に費やす時間をますます減らしていく一方で“ホームハブ”と言われる、Amazon EchoやGoogle Homeのようなデバイスと人工知能アシスタントを使うようになっていく。広告に邪魔されずに、消費者が尋ねたことにデバイスが答えてくれるからだ。
「藤村厚夫のメディア地殻変動」バックナンバー
- 大手広告主の予算凍結事件が突きつけるもの。メディアが生み出す文脈的価値とは何か?(2017/4/20)
- コンテンツの供給過剰が価値下落を生む?メディアの付加価値を高める5つのポイント(2017/3/24)
- 「エンゲージメント」はメディアの価値を支えられるか?2016年の大転換から見直す(2017/2/20)
- 2017年、メディアをめぐる白熱のポイントを展望する―藤村厚夫氏(スマートニュース)(2017/1/25)
- Webメディアへの信頼が揺らぐなか、課金型メディアが新たな局面を迎えている(2016/12/15)
- 米国大統領選を動かした?“フェイク(偽)ニュース”とメディアはどう戦うのか(2016/11/22)
- 近未来のメディアでは、「編集部」が姿を消すかもしれない(2016/10/20)
新着CM
-
販売促進
ファンタジー好きに訴求するグミ カンロ、空想の果実をイメージした新商品
-
販売促進
横須賀市、メタバースで観光誘致 AIアバターの実証も開始
-
AD
宣伝会議
【広報部対象】旭化成のグローバル社内イベント成功事例を紹介
-
AD
広告ビジネス・メディア
営業を「ビジネスプロデューサー」に改称して6年「IGP」を掲げる電通に流れるカル...
-
コラム
サムライマックのCMに「ありがとう」と言いたい(遠山大輔)【前編】
-
クリエイティブ (コラム)
アイデアが苦し紛れにくっつく瞬間がある――「KINCHO」ラジオCM制作の裏側
-
AD
特集
Hakuhodo DY ONE ―博報堂DYグループのデジタルコア
-
販売促進
ベビー用品の速達デリバリー 日本トイザらス、30分以内におむつやミルクを配達
-
販売促進
「認知獲得」「販促」の両方使えるリテールメディア特性がメーカーの混乱を招く