【前回コラム】「企業の「売る」から生活者に「選ばれる」へ~体験ブランディングの背景にあるもの(前半)」はこちら
「売る」から「売れたあと」にもたらされる体験/経験価値へ
新聞に20代で起業している若者たちのインタビュー記事が載っていたのですが、その中に興味深い言葉がありました。要約するとこんな内容です。
「僕たち平成生まれ(ゆとり世代)は物欲が希薄だと思う。
いい車やいい時計なんか欲しくないし、洋服もファストファッションで十分。
お金は趣味や経験のために使う。モノよりも経験や体験に魅力を感じるんです」
こうした消費行動は平成生まれの若者に限ったことではなく、30〜40代も同じように考える人が多くなっている気がします。大量消費社会、成長社会が陰りを見せつつある今、消費者のニーズは「モノの豊かさから心の豊かさに変わった」と言えそうです。
それは、若者を中心に「人はスペックや機能ではなく、モノが実現してくれるコトの豊かさや満足度で商品やサービスを選ぶようになった」ということであり、広告の世界で久しく言われていた「モノからコトへ」が、いままさにリアリティを持って社会を動かしつつある──そんな風に解釈することもできます。
「消費者×ブランド」が共創することでブランドの体験価値がつくられる
前回「機能やスペックで差が出ない成熟社会において、ブランドや商品の価値を決めるのは消費者である」「選ばれるためにまず必要なのは、企業主語で語るのではなく徹底した生活者目線になることだ」という話をしましたが、モノが売れる構造は大きく変化しています。顕著なのはインターネット登場以前と以後だと言われています。