Audience Wild West: Insurgent Categories Redefining Marketing レポート
世界最大のクリエイティブ・ビジネスの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウス・ウエスト)2021」が3月16日〜20日にかけて開催されました。ことしはオンライン開催となり、私も日本の自宅から参加しています。この開催方式には臨場感はありませんが、場所と時間の制約がないメリットもあります。
さて、デジタル・マーケターである私は、まず「Audience Wild West: Insurgent Categories Redefining Marketing」(抄訳=『オーディエンス開拓時代:〈従来メディアへの〉反乱軍がマーケティングを再定義する』)と題した、ユーザー参加型メディアのマーケティングについてのセッションに参加しました。
このセッションの概要には、「ステイホームを強いられた結果、ひとびとが、人とのつながりを感じられる体験、環境的な抑圧から解放してくれる体験を求めている。代表的なものは、ゲームやデートアプリ、コミュニティ志向のソーシャルメディア、自宅向けフィットネスサービス。これらが従来メディアに対し“反乱”ののろしを上げている」とあります。コロナ禍において、メディア事業をどう成長させるかについてのヒントが得られるだろうと期待しながら視聴してみました。
「人に会いたい」という本質的な欲求
モデレーターは、経営コンサルティング会社MediaLinkの創業者でありCEOのMichael E. Kassanさん。TinderのCEOのJim Lanzoneさんとの対話からスタートしました。
Tinderは、皆さんもご存じの世界最大級のデート相手を探すマッチングアプリで、2013年にサービスを開始しました。コロナ禍で利用が非常に増え、気に入る人を探す「スワイプ」というアクションが、1日に30億回を数えたこともあるそうです。
TinderのJimさんは、このコロナ禍で、多くの独身者がTinderを使って交際相手を探したことが、利用の増加の一つの要素だと説明しました。Tinderのプラットフォームを使った会話も20~25%増加したといいます。そして結果として、時間消費型の完成されたコンテンツである、映像や音声メディアの利用が増加したことも紹介されました。
しかも、スマホ慣れした若い世代だけでなく、どの世代でも利用が増えていることから、Jimさんは、「人には、人に会いたいという本質的な欲求がある」と指摘します。その本質こそが、Tinderの利用を促しているのです。確かに、感染防止のためにデートの場所がレストランやバーなどの屋内から、公園のようなアウトドアに変わっても、「会う」という本質は変わっていません。
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