ブランドロゴの国際比較が示すグローバル化とデジタル化
以前、ブランドデザインの専門家がブログで書いていた記事で、ブランドロゴの国際比較がありました。Appleのようなアメリカ西海岸のトップレベルのグローバルテクノロジー企業を念頭におき、またインターネットを通して調査したと思われるその分析の内容は非常に興味深いものでした。
その記事とは「なぜ日本のブランドは文字ベースのロゴが多いのか?(Brandon K. Hill/Freshtrax)」。記事の趣旨は、日本のブランドロゴ、アメリカのブランドロゴ、そして中国でのロゴを比較した際に国別の特長がみられるが、違いが生まれるのはなぜか、というもの。日本のブランドロゴはアルファベットの文字だけのものが多く、アメリカは抽象化されたシンボル(図像)のみで文字が少ない。中国はシンボルよりは具体的だが、キャラクターのような絵と中国語の組み合わせが多い。
記事の中で筆者であるBrandon K. Hill氏はアメリカや中国がシンボルやキャラクターがあるのに対して、日本にそれがないのは「デジタル化が進んでいないため」という理由を挙げています。言いたいことのポイントはまさに、デジタル化の部分なのですが、ロゴについて触れているため、記事に対しては「日本の企業にもシンボル(図像)を使っているブランドはある」といった直感的な批判も多かったようです。
その後、そういったコメントをもとに補足的に日本のトップ100ブランド(インターブランドのブランドランキングを対象)をもとに再度同じ分析をしていましたが結局、日本でシンボルを用いたロゴは唯一ヤマト運輸があるのみで、同じ考察結果と理由になっています。
結論として「グローバル化とデジタル化がこのロゴのシンボル化を促す」という氏の主張については、確かにその通りで、デジタル空間上においては小さなスクリーン上でアプリのような形でロゴを表示することが多いため、なるべくシンプルにかつ、視認しやすいロゴで、なるべくなら言語的な違いを超えた図像的なシンボルに移行していくことが特に最近の「ブランドロゴデザイン」には求められていると言えます。
また筆者が上げていたアメリカのブランドロゴの代表であるNike、Starbacks、Appleなどのシンボルのみの企業は、アメリカのトップ100のなかでも5%にすぎなかったと認めています。つまり、ここまでシンプルな記号化されたブランド自体、実際はアメリカでも少数なのです。しかしながら、アメリカも中国同様、デジタルのみでビジネスをはじめるスタートアップ企業だけを見ればこのあたりは逆転しつつあり、シンボル化というのは「グローバル化とデジタル化」による自然な流れとも言えるでしょう。
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