食事宅配サービスを展開するファンデリーは、冷凍宅配食「旬をすぐに」ブランド初となるテレビCMを開始、Webバージョンを公式YouTubeで公開した。

CMは、ワンカットで撮影された15秒と30秒。その画面の真ん中で、まっすぐ正面を見つめているのは女優・河合優実さん。河合さんが語るモノローグが文字になって、画面の右から左へと流れていく。そこに重なるのは、中森明菜さんのデビュー曲「スローモーション」だ。

「『旬すぐ』は、旬の国産食材を100％使用した冷凍食品のデリバリーサービスです。この国の働く若い世代が「食」を大切にする時間も余裕もなく辛そうである、という現実。そんな若者の食を助けたい、彼らの身体が元気なことが、この国の元気になる、という志にとても共感しました。
その誠実な思いと姿勢を伝えるのが一番会社にとって良い結果になると思いました。ただ目立たせるために余計なものを加え、それが添加物とならないように（笑）、CMも誠実なものにしようと思いました」と、クリエイティブディレクター 多田琢氏。

CMに登場する河合さんは2019年のデビュー以来、さまざまな映画やドラマに出演し、数々の新人賞を受賞している注目の人だ。

「河合さんは個人的にこれから最も伸びると思っている、まさに“旬”の女優さんです。映像は彼女の魅力をシンプルにワンカットで堂々と美しく撮ることだけに集中しようと、撮影・監督は上田義彦さんにお願いしました」

このCMにおいて大きな存在になっているのが、中森明菜さんのデビュー曲「スローモーション」。この楽曲を選んだ理由を、多田氏は「全体のデビュー感を強く感じてもらいたいと考えたため」と話す。

「サービス名のお披露目、河合優実の纏う女優の芽吹き、中森明菜の伝説のデビュー曲。この３つが見た人の心の中で溶け合って『旬すぐ』の初々しい誕生のイメージとなればいいな、と」

旬すぐのキャッチフレーズ「いってらっしゃい、私の中へ。」とCMのメッセージを書いたのは、コピーライター 児島令子氏。

「私自身、食品の成分表示を必ず見る裏面ウォッチャーです。なので、国産食材100%で添加物削減と聞いて頷きました。じゃあこれをどう伝えようか? ‟食べ物って、自分が自分の身体の中に入れるものである”というあたりまえだけど改めて考えるとすごく大事なことに焦点をあてようと思ったのです。
私が私の中に入れて、私の何かになっていき、私生きてるになる。という命のストーリーをブランドの世界観にすべくコピーライティング。同時に食の諸問題のレスキューという意味で、『救え、YOU&ME.』というコピーも並走させました」

そのコピーを縦書きにして右から左へ流れていくようにレイアウトしたのは、「コピーがまるで一編の詩のようだったから」と多田氏。

今回、「旬をすぐに」はより親しみやすいブランドを目指して「旬すぐ」という愛称を使うことを決め、ロゴ・パッケージ・送付用段ボールも一新した。

豊富なメニューが「旬すぐ」の特徴であり、「映像として動いた時も効果的になる」ことを目指し、「旬」という字の真ん中部分がいろいろな料理に変わるブランドアインデンティを新たにデザインしている。

また、送付用パッケージも同じ考え方でトラックのアイコンがデザインされている。

「ためしにトラックのアイコンを作ってロゴを入れたところ、‟速さ”だったり‟チャーミングさ”が表現出来た気がして凄くしっくりきました。なので、‟旬すぐトラック”が運んできたように見えたら良いと思い、ダンボールはこのトラックのアイコンをメインに入れました。並べるとトラックが走っているように見えます。上積み厳禁など配達用のアイコンも、細部まで楽しんで作らせていただきました」と、アートディレクター 香取有美氏。

さらにパッケージは、あえてフィルムの銀を残してデザインしている。

「デリから届いたような、おいしそうで清潔感のあるパッケージを心がけました。ストイックすぎないように、それぞれにちょっとしたアイコンをアクセントとして入れることでチャーミングさを加えました」

ポスターなどのグラフィックでは誠実さを表現したいと思い、余白を大切にした清潔感のあるレイアウトに。

「上田さんが撮った写真の赤い服がとても印象的でしたので、コピーも赤にして余計な色も使わずにシンプルな配色にしました」（香取氏）

CMオンエア後、SNSでは「スローモーションが流れてきたので振り返ってしまった」「河合優実さんの佇まいと曲が合っている」など、この曲に反応している人が多く見られている。