NFTやトークンを活用した施策は、ファンマーケティングを目的に実施されることが多い。なぜ、顧客のロイヤルティ向上にNFTが寄与するのか。ブランドトークンの活用にいち早く目をつけたサッポロビールの事例から、Web3.0時代に変化するファンマーケティングの在り方を読み解く。
本記事は『宣伝会議』2023年5月号からの転載記事です。
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新井健司氏
サッポロビール
マーケティング本部
新価値開発部 兼 ビール&RTD事業部
SORACHI1984ブリューイングデザイナー
ブランドパーパスと事業方針がトークン発行を後押し
サッポロビールは2021年11月、ビールブランドの「SORACHI1984」にてブランドトークン発行の取り組みを開始。日本では比較的早い段階からトークンの活用に着眼し、Web3.0時代のマーケティング施策を行ってきた。
「SORACHI1984」の取り組みは、デジタルウォレットの開設やトークンの交換・取引が可能なマーケットプレイスを展開する24karatという企業が運営するプラットフォーム上で実施している。
「SORACHIトークン」をプラットフォーム上で発行し、一定数のトークンを集めた生活者は、ブランドに関連したデジタルグッズやNFTと交換できるという仕組みだ。
トークンは、SNSで同ブランドについて投稿したり、アンケート回答、ファンミーティングに参加するなどした生活者に限定配布。SNS投稿においては、ユーザー自身がNFT配布プラットフォームで投稿したことを知らせることで、トークンを受け取ることができる。
「SORACHI1984」が施策を開始したのは2021年。NFTやトークンなどの用語自体の認知度が、現在よりも圧倒的に低く、国内では他社事例も少ない状況だった頃だ。そんな中でサッポロビールは、なぜ実施に踏み切ったのか。