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コラム

片岡英彦のMPR(Marketing PR)な人々

「社会貢献」を戦略広報の視点で”あえて”考える。

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こんにちは。片岡英彦です。今週は「社会貢献」というテーマについて、”あえて” 戦略広報の視点で考えてみたいと思います。

「社会貢献」とは、法人や団体、個人が「公益」に値する活動を行うことです。最初から社会への貢献を目的とする場合と、事業活動を通して結果として社会への貢献につながる場合があります。近年では(企業イメージを向上させるためという面も多分にありますが)「営利活動」を目的とする企業が「非営利活動」に対し「援助・支援」することが、企業の「社会的責任」として一般的になりつつあります。

企業が「社会貢献」を行う際に注意したいポイントを3つ挙げます。

企業の社会貢献で注意すべき3つのポイント

  • 本業との関係性
  • コミュニケーションの継続
  • 他社との差別化(本当に重要な社会問題に取り組んでいるか)

上記3点をもう少し詳しく考えてみたいと思います。

本業との関係性

社会貢献活動と企業ブランドや自社商品の広報・販促活動を企業が何らかの形で関連付けようとしますと必ず批判の声が挙がります。冒頭で私が「今週は社会貢献というテーマについて、”あえて” 戦略広報の視点で考えてみたい」と申し上げた理由はここにあります。企業はこうした批判の声を先読みし、社会貢献活動に踏み出せないことも多くあります。しかし、私は企業が社会貢献活動を積極的にマーケティング(PR)活動と関係させていく時代にすでに入っていると思います。むしろ消費者がこうした企業の試みを、見極め、応援し、育てていく時代です。

顧客とのコミュニケーションの継続性

NPOやNGOとのコラボを望む企業の多くは、単なる「慈善活動」としての視点のみで「社会貢献」を考えてはいないことが多いのは事実です。一方で企業側はかつてのように「支援金や活動資金義を団体に寄附する」「企業のリソースを支援団体に提供する」「それらの社会貢献を社外にアピールする」ことだけを望んでいるわけではありません。多くの企業はNPOやNGOともっと「風上」での協業活動(コラボレーション)を行うことで、これまでとは異なる新しい形の顧客とのコミュニケーションを行いたいと考えています。消費者に対して「何らかの社会的価値をお互いに共有しましょう」という姿勢(継続的コミュニケーション/エンゲージメント)が、企業にとって新たな価値を生み出します。

どんな業種・業態の企業であろうと、こうした顧客との継続的、発展的なコミュニケーションがしっかりと結ばれていくようになれば、必然的に「社会貢献」=「世間の評判」=「売上」(顧客からの「信頼」の結果としての商品の売上)は、長期的に連動していくものと思います。

ソーシャルネットによるコミュニケーションが普及し、消費者の社会貢献に関する意欲が高まりつつある中で、こうした因果関係はこれまで以上に高まっていきます。誤解を恐れずに敢えて申し上げますと、企業にとって大きな「ビジネスチャンス」です。

他社との差別化

世界の医療団の2012年度「1000人のスマイル作戦キャンペーン」が開始しました。

多くの企業が似たような社会貢献を行っている中で、あえて、良い意味での「議論」(話題)を呼ぶような活動を行っていくことも今後は大切です。注目度の高いNPOやボランティア団体を企業が独自によく調査し、自社のブランディングや商品プロモーションに活用していく視点が不可欠です。これまででしたら企業のタイアップ先は、著名タレントや有名キャラクター、スポーツ等の“冠”協賛イベントなどに限られていたのかもしれませんが、最近では企業のタイアップの先も多様化しつつあります。今後はNPOやNGOなどとのタイアップが企業のマーケティング(PR)活動のパートナーとして、大きな柱になるものと思います。

NPOやNGO側の企業マーケティングに関する理解不足や経験不足など、まだまだ課題は多くあります。自ら企業側のニーズを把握し、新しい価値観を提案し、発信していく姿勢がこれまで以上に求められています。また、企業は消費者の目を信じて、消費者と一緒に行う新しい形のコミュニケーションを行うことにより「堂々と」消費者の心を「エンゲージ」していけばよいのだと思います。

あなたが善を行うと、
利己的な目的でそれをしたと言われるでしょう。
気にすることなく、善を行いなさい。
(マザー・テレサ)

消費者は、企業の社会貢献活動の「真偽」を見分ける力をすでに持っています。

来週は、「日テレを退職する方法」というタイトルで「なぜあなたの広報活動は失敗するのか?」について考えてみたいと思います。

それではみなさま。また来週。

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