コラム

片岡英彦のMPR(Marketing PR)な人々

マクドナルドの商品名に隠された「キーメッセージ」とは?

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こんにちは。片岡英彦です。今回のテーマは「キーメッセージ」についてです。

「キーメッセージ」とは、ある商品やサービスについて 商品の送り手側が最も伝えたいメッセージです。商品広報上、最も重要で難しいコミュニケーションでもあります。キーメッセージが的外れなものだと、どんなに大量の情報が顧客に届いても顧客には全く受け入れてもらえないからです。


ちなみに私は期間限定商品よりもチーズバーガーと
アイスコーヒーとサラダとナゲットの組み合わせが好きです。

日本マクドナルドは、昨年来、アメリカンテイストを表現した新商品をシリーズ化し“Big America”キャンペーンとして実施しています。「テキサス」「ニューヨーク」「カリフォルニア」「ハワイ」の4都市(エリア)を始め、「アイダホ」「マンハッタン」「マイアミ」など、その土地ならではの具材にこだわった新商品を販売しました。一言で「キーメッセージ」と言いましても、さまざまな表現方法があります。このキャンペーンのように、1種類だけでは単なる「商品名」に過ぎなくとも、アメリカの地名を付け同時に数種類発表することで、商品名やキャンペーン名が「メッセージ性」を持つことがあります。広報戦略上、「メッセージ性」が有効な理由は3つあります。

「メッセージ性」が有効な理由

  1. 商品の差別化
  2. 商品の付加価値化
  3. 商品の話題性

マクドナルドが世界有数のハンバーガーチェーンであることは、すでに誰もが知っていることです。従って、新商品といえば、誰もが「ハンバーガー」を連想します。しかし、食材を変えるだけで「ハンバーガー」の差別化を図ることには限界があります。食材の調達や店舗のオペレーション上、目新しく変わった食材を次々に追加投入することは、私たちが思う以上に困難なことなのです。また、誰もが好む「新しい味」を開発し続けることも簡単なことではありません。「○○バーガー」「○○マック」という単品名の商品PRで、顧客の「期待感」を醸成し話題性を提供し続けることは至難の業です。(コストもかかります)

商品にメッセージ性を持たせ、差別化、付加価値を行い、話題を生み出す。これが、商品の「メッセージ」が持つ役割です。

ところで、どうしてこれらの商品は「ロサンジェルス」「ヒューストン」「フィラデルフィア」という他の地名ではいけなかったのでしょうか?

キーメッセージを考える上で、以下の3つの要素を考える必要があります。

キーメッセージの3つの要素

  • 新鮮みがあるか?
  • 覚えやすいか?言いやすいか?
  • 共感を得やすいか?

“Big America”キャンペーンに当てはめて考えてみます。

新鮮みがある

ビーフ、チキンなどの食材には触れずに、都市(エリア)名のバーガーをシリーズ化し発売したのはマクドナルドの歴史上初めてではないかと思います。

覚えやすい・言いやすい

ニューヨークと言えば「自由の女神」、テキサスと言えば「西部劇」、ハワイと言えば「常夏の島」。日本人にとって都市名とシンボルとが一致しやすい都市名が選ばれています。ロサンジェルス、フィラデルフィアなどは、特定のシンボルとは直接結びつかないため、覚えにくく、言いにくいのでしょう。

共感を得やすい

その地名をイメージして「ああ、なるほど」と誰もが納得する味でなければ、顧客の共感を得られません。「間口の広さ」と「納得感」が重要です。ですから「ラスベガス」「ダラス」「ヒューストン」といった都市では間口が狭く「味」も想像しにくいため採用されにくいのでしょう。

もっとも、マクドナルドにとって最重要な顧客へのキーメッセージは、このキャンペーンに限らず、常にシンプルな一言で表現されています。

 i’m lovin’ it. 「私はそれが好き」(私のお気に入り)

このたった一言のメッセージによって、マクドナルドが顧客に提供するものは、単なる「ハンバーガー」ではなく「顧客体験」(経験価値)だということを約束しています。これはシンプルながらも、なかなか強いメッセージだと思います。

来週は2008年に起こった「派遣村」運動から「可視化」について考えます。

それではみなさま。また来週。

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