私は現役の大学生で、目下、就職活動中である。多くの就活生と同様に、気になる企業のHPや企業セミナーを訪れながら、その組織が何を大事に思い何をしているのか、その歴史や未来像もあわせて必死に汲み取ろうとしている。読み解くことが可能な企業理念、ビジョン、パーパスを理解する努力をし、収集可能なその企業のレピュテーションをかき集めて想像を膨らませる。そして、自分の内面を掘り下げて取り出した(つもりの)自分の価値観や軸と照らし合わせ、自分が身を置くかもしれないその組織の文化に合って大好きになれるか、またその企業も自分を気に入って重宝がってくれるかを、検証を重ねる毎日である。
そんな中、『PR4.0への提言』を手にした。そこには、企業が掲げたパーパスやビジョンと、組織の内部で従業員らが実際に感じることとに生じる可能性のあるギャップや、それを埋める様々な企業努力について書いてあった。
掲げてあるパーパスやビジョンを頼りに就活を進める学生にとり、これは聞き捨てならない。それを信じて入ったのに、内部で大きなズレを目の当たりにしたら不信感が高まるのは当然である。そうした互いにとっての不幸を防ぐ努力を、PRの領域が緻密にコミュニケーションの設計をしながらマネジメントしようとしている、というのが、非常に興味深い。耳あたりの良い外部向けの姿が単なる飾りに終わらずに、組織を構成する一人一人の細部にまで行き渡る努力は終わりのないものに思えるが、組織のパワーを真髄から高めていく掛け替えのない活動に思える。
本の中で紹介されていた活動で特に感銘を受けたのは、 ヤッホーブルーイングのインターナルリレーションの取り組みだ。応募の時点で採用セミナーに参加させ、入社前から経営理念やミッションに対する理解を深めミスマッチを未然に防ぐことができている。結果として若手から意思決定に積極的に参加しやすく、意欲的に労働ができるという良い結果が得られている。入社時のみならず、年に一度の「ヤッホー文化の日」などで、全社員がチームビルディングについて議論を交わすのも素晴らしい。 これらの取り組みは、社内の従業員のエンゲージメントを継続的に維持向上できる点で、就活をしている身としてとても魅力的に映る。
こうしたことに気付かされた一冊であった。

定価:2,200円
(本体2,000円+税)
『新しい「企業価値」を創出する PR4.0への提言』
編著:株式会社 電通PRコンサルティング
本書は、電通グループ内のPR領域における専門会社である電通PRコンサルティングが2020年8月から3年間、月刊『広報会議』(宣伝会議発行)において連載した「データで読み解く企業ブランディングの未来」をベースに、現在、そして来るべき広報の未来に向けて加筆しました。
『PR4.0への提言』は、序章と7つの章で構成されています。序章では、まずPR(パブリックリレーションズ)の進化について振り返ります。PR1.0は情報拡散を目的としたPRとして位置づけ、その後はPRの効果測定の指針として世界的に採択されている「バルセロナ原則」(※)に照らし合わせ、現在、自分たちの、2.0(アウトプットからアウトカム)、3.0(インパクトの評価)としています。そして来るべき「PR4.0」はどこに向かうのかを、本書を通して考察していきます。
※本書は、PRプランナー資格認定制度において、2次試験(科目C:広報・PR実務に関する知識)の参考図書に選定されました。
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