ウェビナーにはJTBの松野友哉氏、JTBコミュニケーションデザインの田中裕司氏、直井英樹氏の3人が登壇した。
訪日外客数は4000万人を突破
2026年1月、日本政府観光局(JNTO)が発表した、2025年の累計訪日外国人旅行者数(推計値)は約4260万人を記録し、過去最高を更新した。
2025年の訪日市場(上期実績値)
2025年11月、2025年上期の実績値をベースに行ったセミナーによると、2025年上期の段階で訪日外客数は過去最高を更新しており、背景には円安による割安感、国際線旅客便数の回復(2019年度比108.7%)、約172万人が来訪した大阪・関西万博の開催が要因としてあげられる。
国・地域別では韓国が679万3600人で首位。韓国、中国、台湾、米国、香港の上位5カ国・地域で全体の約74%を占める。2025年7月はSNSによる誤った情報の拡散や日本国内の猛暑の影響で減少した国・地域もあったが、中東地域が前年同期比161.8%の伸びを見せ、成長余地の大きい新興マーケットとして関心が高まっている。
訪日消費額は、10兆円も視野に
2024年の訪日外国人旅行消費額は8兆1257億円で、2023年比153%と大幅増となった。2025年上半期は6兆9156億円で、前年同期比118.6%。年間10兆円規模が視野に入るとの見方もある。
国・地域別消費では中国が1兆7265億円で21.2%と最大シェア。欧米の伸びが顕著ではあるものの、上位5カ国・地域で64.6%、上位10カ国・地域で77.6%を占める。
消費額は上記のとおりだが、松野氏は、単に消費額の総計を見るのではなく、買い物や飲食費を国・地域別に分解して傾向を捉えることが肝要だと語る。
訪日外国人旅行者一人当たり、一日当たり
一人当たり旅行支出は22万3431円で、買物代では中国が11万8351円でトップ、香港8万8762円、シンガポール7万8070円と続くが、飲食費ではイタリア8万8583円、オーストラリア8万4749円、英国8万4739円と欧米豪が高く、国によって異なる傾向がみられる。
また、さらに細分化し、一人一日当たりで見ていくと解像度はより高くなる。平均泊数と支出額で比較すると、上述した欧米豪の旅行者は滞在日数が長いため、順位が入れ替わっていく。
ひとくちに「訪日外国人向けプロモーション」と言っても、国・地域ごとに傾向は大きく異なる。自社の製品やサービス、提供価値にフィットし、強みが響くターゲット市場を的確に見極めていくことが重要だ。
旅行者の意思決定メカニズム——検討開始から申込までの時間差
前章で国・地域別の消費額と内訳を確認した。インバウンドプロモーションにおいては、その実施時期も重要な要素のひとつだ。各国・地域で異なる旅行検討の時期を把握し、最適なタイミングで情報を届けることが鍵となる。
独自調査で見る訪日外国人旅行者の意思決定メカニズム
JTBでは韓国、中国、台湾、タイ、オーストラリア、アメリカ、フランスの7カ国・地域を対象に調査を実施し、各国の「旅マエ」「旅ナカ」の実態を定点で観測している。国・地域別の特徴を把握することで、ターゲット国へのアプローチ方法も変わると考えている。
調査内容を見てみると、欧米では約3割が半年以上前から検討を開始し、フランスでは37.0%が181日以上前、平均124.3日前に検討を始める。日本に距離の近いアジアでは2カ月未満での検討開始が半数超で、韓国75.0日前、台湾85.4日前、中国51.7日前だった。
中国では約55%が出発2週間前以降、70%以上が1カ月前以降に申込む。韓国、台湾も約半数が1カ月前以降だ。欧米は出発の3カ月から6カ月前が中心で、計画型の傾向が強い。欧米は約70%が初訪日だが、韓国・台湾は約90%がリピーターである点も影響している。
「旅マエ」のタイミングは国・地域で大きく異なる。一般に欧米豪は早期、アジアは直前の情報収集が主流だ。
「旅ナカ」においては、約36%がレストラン情報を検索し、ラーメンや寿司の体験率は50%超。定食店やコンビニ、デパ地下利用も増えている。情報収集や予約は概ね訪日前が多いが、交通手段や美術館・博物館、動物園、水族館、理美容、医療機関などは旅ナカ予約の比率が高い。訪問は旅行中盤が多く、宿泊施設や新幹線などは序盤に集中する。
「旅ナカ」での情報検索も多いことから、JTBグループでは訪日インバウンドプロモーションを実施する上で、「旅マエ」はもちろん「旅ナカ」でのアプローチも重要だと考えている。
こうした調査を経て、「ひとくちに【インバウンドプロモーション】と言っても、消費額や人数といった大きな枠ではなく、細目ごとや国・地域ごとでのターゲティングが重要だ」と松野氏は語った。
実際の誘客に繋げるJTBのデジタルアプローチ
こうした変化を踏まえ、JTBグループでは旅マエ、旅ナカ、旅アトまで一貫したコミュニケーションが重要だと捉え、クライアントごとの課題に合わせたデジタルアプローチを設計して提案をしているという。
実際、クライアントが抱えるインバウンド施策推進の悩みは、大きく3つに分けられるという。1つ目は「店舗に来てほしい」という課題だ。たとえば、比較的知名度の高いブランドが東京・大阪・名古屋などに直営店を展開しており、来店促進に加えて、過去に実施した施策の効果も測定したいケースなどが例として挙げられる。
2つ目は「訪日外国人への効果的なアプローチ方法を知りたい」という課題で、都内に店舗を構えるクライアントなどが、現在の施策の効果を十分に検証できておらず、より有効な打ち手を模索しているケースなどが該当する。
3つ目は「施策の効果検証をしたい」という課題で、小売店などが、集客拡大に向けて効果的なアプローチを探っているという例もあった。
高精度ターゲティング広告「triconcier(トリコンシェル)」
このようなクライアントの課題に対して、JTBコミュニケーションデザインでは、認知向上、店舗誘客、効果検証に対し、訪日確定層や店舗周辺旅行者に配信し、来店計測まで可能な高精度ターゲティング広告「triconcier(トリコンシェル)」を使ったプロモーション施策の提案を行っているという。田中氏は「triconcier(トリコンシェル)はターゲティング、タイミング、タッチポイントの3点に沿ったソリューション」だと説明する。
たとえば韓国人旅行者がターゲットの場合、オンライン旅行購買データを活用し、韓国にいる訪日確定層に旅マエからアプローチし、日本到着後は位置情報を活用し、効果的な顧客接点の形成を進めていくという。
具体的な手法としては言語や趣味嗜好に応じた動画・バナー広告を配信し、その旅行者を追跡。その旅行者が広告に接触し、リアル店舗に来訪したかなどを計測することができる。
triconcier(トリコンシェル)のデジタルプロモーション結果から行う効果検証で、「次なる一手」を分析し、更なる費用対効果が高いマーケティングが可能になるという。
直井氏は「triconcier(トリコンシェル)を活用したマーケティングで、訪日外国人向けのデジタルマーケティングの解像度が上がる」と述べた。
両社は、調査データを用いて、ターゲッティングから、「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」施策を提案している。詳細データも提供しており、フォームよりダウンロードが可能となっている。

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