企業ブランドを高める広告と「自慢」と見られやすい広告の境界線とは パナソニックのCMに新たな可能性を見た

回収した使用済みの家電製品を工場で「バリバリ」と切断する――。そんなパナソニックのCMを見て、同じくメーカーで長く広告制作に携わった、元味の素クリエイティブディレクターの名久井貴詞さんは驚いたといいます。

企業ブランド広告は、知られていない自社の取り組みを紹介したいと思う半面、受け手にとっては「自慢」と見られてしまう恐れがあるとも指摘します。そんな中で、パナソニックの姿勢をどう受け止めたのでしょうか。

パナソニック Panasonic Quality「PETEC篇」(30秒)

自社商品を切断する映像に驚き

休日の夜、何気なしにテレビを見ていたら流れてきたこのCM。「ありがとう」の言葉が画面の真ん中にあり、使用後に回収されたとわかるエアコンの室外機など、さまざまな部材が見えた時に、「大切に使ってくれて」と出てくる。

さらに室内機が切断される、少し驚く画像に「ありがとう」と言葉が続き、さらに「ながく使ってくれて」との感謝の言葉が、切断された機材の映像に重なって表示されました。

初めてこのCMを見た時、とにかく驚きが大きかったので、エアコンが再生されるんだよね……くらいの印象しか残りませんでした。その後の展開まで思いが至らなかったのです。

なぜ驚いたのかというと、家電をはじめとして日本のメーカーのCMは、「良いものができました」ということを広く告げるのが典型で、販売促進のためにしのぎを削ってきた歴史が長く続いてきたからです。

CMは続きます。工場らしき映像の真ん中に「解体する工場で」と文字が重なり、従業員が手作業で解体をする映像に「今から、きれいな素材にもどります」と文字が続き、「また新しいカタチで」、「そばにいられるように」とプラスティックや銅線など金属に分けられる画像に「Panasonic Quality SINCE 1918」の文字。最後に企業ロゴで閉められます。

言い方を変えれば産業廃棄物であり、役割の終えた家電の墓場ともみられる映像です。CMという形で目にするのはおそらく初めてでした。

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