広告クリエイターを目指す人や駆け出しのコピーライターにとっては、コピー年鑑は憧れの存在であり、教材であり、自らを奮い立たせてくれる存在でもあります。TCC会員の皆さんは、コピー年鑑とどう向き合ってきたのか。どう活用しているのか。今回は、2022年度のTCC新人賞を受賞した都竹玲子さんです。
コピーライター15年目の私は、今がいちばんコピー年鑑を開いています。過去の私よ、もっと読んでおけ、と言いたい。
1:コピー年鑑に載りたい期
学生の頃、大学の図書館でコピー年鑑と出会った。なんとなく手に取って、パラパラめくってみると、そこには広告だけじゃなく制作者の写真とコメントも載っていた。いい歳した大人たちがビジネススーツも着ずに、屈託なく笑っている。え、いいな。これでお金もらえるなんて最高じゃないか。こんな立派な本に、つくったものと一緒に載れるなんて。私もこれに載りたい。不純かつ無邪気な動機を抱いた。大学3年生になっても就活ムードのない地方芸大のアトリエで「玲ちゃん、急にどうしたの?」と友人に驚かれながら、私はコピーライターをめざした。
2:コピー年鑑、イヤイヤ期
めでたくコピーライターの名刺を持った私は、毎日元気に通勤した(コロナ前の世界である)。会社に行けば、書く仕事があるのがうれしかった。当時、名古屋のプロダクションで働いていた私は、やる気に満ち溢れ、仕事をくれくれと言って師匠を困らせた。週末は仕事の下調べに恋人を連れまわし、フラれた。心血を注いで仕事をしていた。けれど、ふと気づく。自分が向き合っている仕事とコピー年鑑に載っている広告との距離に。いま振り返ると被害妄想でしかないけれど、TCCというメインストリームに否定されているような気持ちになった。私はコピー年鑑を開かなくなった。
3:再び、コピー年鑑に載りたい期
デカくて、重くて、高くて。なんてイヤな本なんだ。心の中でグチりながらも、再び私は、おそるおそる年鑑を開くようになった。結局、私はずっと「載りたい」と思っていたのだ。商品が売れて(もしくはブランドが知られたり愛されて)、クライアントが喜んでくれて、チームがハッピーになって、コピー年鑑にも載る広告をつくる。三方よし、というやつだ。めちゃくちゃ大変だけど、めざしたい。TCC賞を獲りたい。だって大学の図書館で見たいい歳した大人たちの笑顔は、その山を越えた先にあるものだから。目的が歪まないように気をつけながら、コピーから逃げない。歯を食いしばるための重石みたいな本だと思った。
