ぐるなびとエプソン販売は、飲食店を体験型広告メディアへと変革する新たなマーケティング手法を提案している。大型ディスプレイを軸に、動画映像と飲食店での様々な体験で五感に訴えかけるサービス「ミセメディア」を共同開発。デジタル広告が飽和する中、店内での映像放映と食事体験を組み合わせ、来店客の意識変容と購買意欲の向上を促す狙いだ。
2月17日、18日に都内で開かれた「KAIGI GROUP フォーラム」(宣伝会議主催)で、エプソン販売の小西恵理子氏と、ぐるなびの西本愛咲子氏のほか、ミセメディアの利用企業である日本マッケイン・フーズの安念剛氏が登壇し、取り組みの詳細を紹介した。
デジタル広告の飽和と「体験価値」への構造的課題
エプソン販売の小西氏は冒頭、「本格的なAIの時代が到来し、消費者の『情報の取捨選択』はかつてないほどシビアになっている」と強調した。そのうえで、デジタルでは代替できない価値を持つのが「飲食店」というオフラインの場だと説明した。
飲食店でのプロモーション展開では、滞在時間の長さや複数人で利用される特性を生かすことができ、「ブランド体験」を創出する価値の高い場所になりうるという。
こうしたポテンシャルを受けて構築されたのがミセメディアだ。店内に設置したプロジェクターなどによる大画面でプロモーション映像を放映し、同時に対象商品を用いたタイアップメニューやサンプリングを提供する。視覚にとどまらず、味覚や嗅覚など五感に訴える体験が特徴で、来店客同士の会話を促し、記憶に残るブランド体験へとつなげる。
大型ディスプレイなどで五感に訴えかける「ミセメディア」
日本マッケイン・フーズの事例にみる活用例と効果
カナダの大手食品メーカー、マッケイン・フーズの日本法人(日本マッケイン・フーズ)は、2025年4月28日から5月25日にかけて「オリジナルフライドポテト」を対象にミセメディアを活用した。首都圏の31店舗でタイアップメニューフェアを展開し、BtoC(一般消費者への認知拡大)とBtoB(飲食店食材としての新規採用)の2軸で効果を検証した。
日本マッケイン・フーズ マーケティング部 マーケティング マネージャー 安念剛 氏
同社の課題は、製品価値と市場認知のギャップにあった。マーケティング部 マネージャーの安念剛氏は「当社のプレミアム製品はコーティング技術で食感を強化しており、実食評価では70%以上が『おいしい』と回答する一方、飲食店従事者の50%以上がコーティング付きポテトを認識していなかった」と語る。高い品質を実食体験を通じて伝え、認知を高めることが急務だった。
店内では「世界中のフライドポテトの何本に1本がマッケインのポテトか」というクイズ形式の映像や、ポテトを揚げる臨場感のある映像を放映した。あわせて、各店舗が開発したアレンジメニューによって実食体験を提供した。
来店客と飲食店の双方を動かした
BtoCの効果は顕著だった。来店客アンケート(回答数:2000)では、84%がミセメディアを通じて「マッケイン」のポテトを初めて認知したと回答した。さらに、映像を視聴した来店客は、視聴しなかった層に比べてタイアップメニューの注文数が1.4倍に達し、映像が行動を直接後押ししたことを裏付けた。
エプソン販売 新規ビジネス開発部 ビジネス・ディベロップメントチームリーダー 小西恵理子 氏
BtoBでも大きな成果が見られた。フェア実施後の飲食店調査(回答数:31)では、73%が商品採用に前向きな姿勢を示した。実際に期間中に食材の入れ替えを決断した店舗も現れ、来店客のポジティブな反応が飲食店の導入判断を後押しする相乗効果が確認された。
サービスをアップデート、非食品分野にも展開
2025年のサービス開始から約1年の実績を踏まえ、2026年にサービスはアップデートされた。店内プロモーションは、飲食店のメニュー開発を伴う「メニューフェア(開発あり)」、商品をそのまま提供する「メニューフェア(開発なし)」、そして「サンプリング配布」の3パターンから選択でき、企業のニーズに応じた柔軟な設計となった。
ぐるなび 飲食店支援事業部 飲食店メディア化事業推進部 飲食店メディア化商品企画グループ グループ長 西本愛咲子 氏
また、実施店舗のセグメント機能も強化した。東京・神奈川を中心とする32店舗から、ターゲットの性別・年齢・利用シーンに応じて最適な店舗を選定できる。来店客は30~40代がボリュームゾーンで、Z世代からビジネス層まで幅広く網羅している。
「ミセメディア」のターゲット層
非食品分野での活用も進んでいる。2025年末には「Yogibo presents RIZIN師走の超強者祭り」のプロモーションを実施し、予告映像の放映と限定コラボグッズのサンプリングを行った。運営元からは、滞在時間の長さによる複数回接触や会話・話題化の広がりを踏まえ、他媒体より費用対効果が高いとの評価を得ている。
ミセメディアでは体験提供に加え、マーケティングに活用できるデータも提供する。来店客アンケート※に加え、POSデータ(出皿数)や飲食店スタッフの声(VOC)も収集し、施策の効果を可視化したレポートとして納品している。
※来店客アンケートは一部プランでは有償オプションとなる。
ミセメディアは、デジタルでは代替できない次世代のリアルなマーケティング手法として、五感を通じたブランド体験の価値を提供する。2026年3月下旬からもミセメディアでは新しいフェアの実施を予定しており、その可能性に注目が集まる。

お問い合わせ
エプソン販売株式会社
ミセメディア事務局
オフィシャルサイト: https://misemedia.jp/
メール:misemedia@exc.ehb.epson.co.jp
〒160-8801
東京都新宿区新宿4-1-6
JR新宿ミライナタワー エプソン販売株式会社






