ローソンの竹増貞信社長は5月25日に都内で開いた発表会で、同月18日に死去したセブン&アイ・ホールディングス元会長で名誉顧問の鈴木敏文氏について「もう一回お話を聞きたかった」と述べ、哀悼の意を示した。昼食をともにしたこともある竹増社長は、鈴木氏について「厳しくもあり、非常に優しくもあった」と振り返った。
5月25日の発表会に登壇した竹増社長
鈴木氏は、セブン‐イレブン・ジャパンの成長をけん引し、「コンビニの父」とも呼ばれた経営者。小売業において、単品管理や仮説検証型の店舗運営を重視し、コンビニを日常生活に欠かせない存在へと広げた経営者として知られる。セブン&アイ・ホールディングス会長兼CEOなどを務め、長く日本の流通業界を代表する存在だった。
5月25日に実施した新施策発表会後の取材で、竹増社長は、鈴木氏の訃報に接して強いショックを受けたと説明。「本当にお悔やみを申し上げるしかないのですが、もう一回お話を聞きたかったという思いがあり、非常に残念な気持ちが大きいです」と語った。
退任後の昼食で語り合った2人
竹増社長は、鈴木氏が2016年にセブン&アイ・ホールディングス会長兼CEOを退任した後、一度昼食をともにしたことがあるという。競合関係にあるローソンの社長に対しても、鈴木氏は業界についてさまざまな話をしたという。
竹増社長は「当時も私はローソンの社長でしたが、業界について、言えることと言えないことをきちんと分けたうえで、いろいろなお話をしてくださいました」と振り返った。
競合関係にありながらも、鈴木氏は竹増社長の問いに真摯に向き合ったという。竹増社長は「ライバルというとおこがましいですが、同じ業界の競合先という立場ではありました。それでも非常に温かく、いろいろな質問にきちんとお答えいただきました。厳しくもあり、非常に優しくもあり、そして業界のことをしっかり考えておられる方だったという印象です」と語った。
コンビニ各社が競争を続ける一方で、竹増社長の言葉からは、日本のコンビニ産業を築いてきた先達への敬意と喪失感がうかがえた。

