大切な“家族”を見送りたい 京都に「ぬいぐるみ神社」が生まれた理由

お気に入りのぬいぐるみと一緒に出掛けて写真を撮ったり、ご飯を食べたりする「ぬい活」はすっかり定着し、ぬいぐるみ用に料理を出してくれるカフェもあるほどだ。ぬいぐるみを心のよりどころにしている人も少なくなく、何十年も大事に持っているケースも少なくない。そうした大切なぬいぐるみを供養するための「ぬいぐるみ神社」が6月、京都に創建された。設けたのは、修理を請け負ってきた「ぬいぐるみ病院」の運営会社。一緒に過ごしてきた家族を最後まできちんと見送りたいという持ち主の気持ちを救う場所になるよう、同社は願っている。

ぬいぐるみの狛犬が据えられた拝殿

京都府南丹市の静かな山の中にたたずむ社。ぬいぐるみの狛犬が据えられている。参拝客を出迎える鳥居は丸い「耳」が付いており、人間用とは別にぬいぐるみ用のものもある。「大切なぬいぐるみに感謝の気持ちを伝えられる場所をつくりたい」という思いからできた、もふもふの聖地だ。

神社を創建したのは、大阪府豊中市で「ぬいぐるみ病院」を運営する企業「こころ」。時間が経ってフワフワ感が失われたものや、綿がへたったもの、腕が取れそうなものなど、いろんな“症状”のぬいぐるみが全国から病院に送られてくる。病院では、破れた部分を縫ったり、綿を追加したり入れ替えたり、生地を新しいものに変えたりと状況によって対応し、傷ついていなくても綿を抜いて表面をきれいにする「エステ」のメニューも備えている。これまでに約2万7000体のぬいぐるみを治療し、待ちわびる持ち主の元に送り届けてきた。同社によると、パーツが欠損していても、生地を変えるなどすれば「生き返ることができる」という。生き返ることができるのに供養するための神社をつくったのには、ぬいぐるみの持ち主の切実な願いがあったからだ。

治療を受けるぬいぐるみ(左)と病院のスタッフであるぬいぐるみ(右)

ある持ち主自身が余命宣告を受け、「大切にしていたぬいぐるみを残して旅立つことが心配」との相談を受けた。万が一のことを考え、葬儀場に尋ねたところ、ぬいぐるみの大きさや素材によっては棺に入れることが難しい場合もあると説明を受けたという。家族同然のぬいぐるみを預かってきた同社として何かできないかを考え、同じ京都にある人形供養を請け負っている京都市東山区の霊明神社に相談。人形供養、針供養のように、様々なものに魂が宿り、供養するという日本の考え方を知り、霊明神社から祭神の分霊を受け、鳥居や拝殿、社務所を設けて整備することとなった。

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