あえて「見えにくく」する逆転の発想 大森元貴『灰色』で問いかける “白黒つけられない曖昧さ”

大森元貴の5thデジタルシングル『灰色』のリリースに合わせ展開された広告プロモーション。リリース日である8月26日には読売新聞に広告を掲載、さらに8月31日からは東急田園都市線渋谷駅の道玄坂ハッピーボードにOOHを掲出した。どちらも一見するとグレーや白黒のグラデーションのなかに何も書かれていないように見えるが、目を凝らすと「世の中 白でも 黒でも ないことばかり。」という文字が浮かび上がる仕掛けだ。

情報が溢れる現代において、あえて「見えにくくする」ことで通行人や読者の足を止めさせた今回のプロモーション。デジタルシングルの告知でなぜ新聞を選び、この表現にたどり着いたのか。クリエイティブを手掛けた電通の有元沙矢香氏、山口さくら氏に話を聞いた。

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“ギリギリ読める” 新聞広告

映画『白鳥とコウモリ』の主題歌でもある本作。歌詞を読んだアートディレクターの山口さくら氏は、「白でも黒でもない “灰色” という色の優しさや寛容さ」が第一印象だったと振り返る。

「世の中は白黒を付けたがりますが、その間のたくさんの灰色に目を向けてもらえるような原稿を作りたいと考えました。『世の中 白でも 黒でも ないことばかり。』という言葉がすぐに伝わるのではなく、白黒つけられない曖昧な部分にこそ本質がひそんでいて、それを能動的に読み取ろうとする体験を作りたくて、“ギリギリ読める新聞広告” にたどり着きました。これは、白黒で印刷される新聞という媒体自体への投げかけでもあります」(山口氏)。

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8月26日に読売新聞に掲載された新聞広告。

紙面上でこの絶妙な “見える/見えない” の境界を成立させるため、1%刻みで印刷濃度を何度も検証したという。

「自分の立場や存在は周囲の環境によって白にも黒にも傾くという不安定さを、溶け込みそうな文字の濃度で表現しています。映画の原作者である東野圭吾さんが問い続けているテーマとも重ね合わせて制作しました」(山口氏)。

ジャーナリスティックなメッセージを、新聞から渋谷OOHへと拡張

デジタルシングルのプロモーションにおいて、あえて紙媒体である新聞を起点とした理由について、クリエイティブディレクター/コピーライターの有元沙矢香氏は次のように語る。

「大森さんとお話しして、この楽曲のメッセージは、世の中すべての人に関わるジャーナリスティックなものだと感じていたため、当初から新聞広告で何かできたらと考えていました。新聞というモノクロの世界の中で、出会った人が手を止め、目を凝らし、自分や世の中について考える時間を作ってもらいたかったんです」(有元氏)。

読売新聞での展開後、同様の世界観は渋谷駅のOOHへとも広げられた。黒から白へと移り変わる中間の灰色領域にコピーを配置し、通行者が「思わず立ち止まって覗き込みたくなる体験」を街頭でも再現させた。

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8月31日~9月6日まで、東急田園都市線渋谷駅の道玄坂ハッピーボードに掲出されたOOH。

「世の中全体が白黒つけようとしすぎている時代の中で、この楽曲はその間にあるものをすごく優しく肯定しています。ふと想いを馳せるきっかけになっていたら嬉しいです」(有元氏)。

スタッフリスト

新聞広告+GR

企画制作 電通、ジェー・シー・スパーク
CD+C 有元沙矢香
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AD 山口さくら
D 古田優馬
Pr 上田理沙
Printing Director 稲餅信之
AE 松井輝、加藤晏澄
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