岩本照主演の忍者劇で1000カット超のAI生成 テレビ朝日「真田十勇士」が切り拓く実写×AIの制作現場

テレビ朝日が10月に放送を開始する忍者アクション時代劇「真田十勇士 SHADOWS OF THE TEN NINJA」は、連続ドラマとしてトータル1000カット以上にAI生成素材を投入する、同局にとって過去最大規模のAI活用作品となる。プロデューサーのテレビ朝日 コンテンツ編成局秋山貴人氏と、AI戦略の実務を担うテレビ朝日 AI戦略部 兼 AIクリエイティブスタジオ 山口真由子氏に、企画の経緯から制作工程、組織体制、ガバナンスまでを聞いた。

「世界に打って出る忍者もの」から始まった企画

企画が動き出したのは2025年5月。秋山氏によれば、当初の命題は「世界に向けて発信できるコンテンツとは何か」だった。「SHOGUN 将軍」(ディズニープラス)など海外で日本の時代劇人気が高まるなか、真田十勇士という実在の戦国名将・真田幸村(信繁)に仕えたとされる架空の家臣10人の物語が浮上した。真田十勇士には決まった原作がなく、時代ごとに語り継がれてきた題材であるため、アレンジの自由度が高い。史実に厳密に従うのではなく、ファンタジー色の強い忍者エンターテインメントとして再構築する方針が固まった。

この段階ではAI活用の構想はまだなかった。忍者アクションをどう映像化するかを検討するなかで、CGに加えてAIの可能性が浮上したのは2025年11月ごろ。12月からは本格的な検証が始まり、2026年4月の撮影開始までの約4カ月間、テスト撮影を重ねながら「今のAI技術でどこまでできるのか」を詰めていった。

CGではなくAIを選んだ理由――キャスト負荷の軽減とファンタジーとの相性

秋山氏がAIへ大きく舵を切った理由は2つある。1つはキャストへの身体的負荷の軽減だ。従来であれば、忍者が飛んだり跳ねたりするシーンではワイヤーやクレーンを使い、キャストを吊って素材を撮影する必要があった。半日がかりになることもあり、リスクも高い。AIを使えば、殴った延長線で壁にぶつかる、宙を舞うといった超人的な動きを、キャストの負担を大幅に減らしながら表現できるのではないかと考えた。

もう1つは作品の世界観との相性である。秋山氏は「史実に基づく話ではなく、ファンタジックな話なので、通常の物理法則に反するようなアクションがAIにはまるのではないかという思いがあった」と語る。検証を経て、題材とAIのパフォーマンスがうまくリンクしたと判断し、全面的にAIを導入する決断に至った。

3パターンのAI活用と「工場をゼロから作る」制作体制

本作でのAI活用は大きく3つのパターンに分類される。第1はフルAI生成で、リファレンス映像をもとにアクションシーンなどを丸ごとAIで作成するもの。第2は本編で撮影した実写カットの背景をAIで差し替えるもの。第3は実写のアクションの延長線上をAIで描き足すものである。多くのカットではこれらにVFXを組み合わせたハイブリッド処理が施されており、「AIに全部任せているカットはほぼない」と秋山氏は説明する。

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