岩波書店は、2027年7月10日に岩波文庫が創刊100周年を迎えるにあたり、様々な記念事業を展開する。夏目漱石『心』の自筆原稿や創刊時のラインアップに含まれていた本の新約本を刊行するなど、新しい読書体験を提供。読者からのリクエストを受け、これまでに品切れした岩波文庫を一挙に復刊、発売する。
100周年のコンセプトは「暗い夜にも道しるべとなる、しずかな星でありたい」。星のようにきらめく人類の「叡智を一つずつ拾いあつめ、いつか満天の星々のような、古典の宇宙を創りだしたい」との願いから1927年に立ち上がった岩波文庫。人類の過去と未来を強く信じる先人たちの情熱を、これからも受け継いでいくとの思いから、このコンセプトに至った。
岩波文庫創刊100周年のコンセプト
年間を通して、様々な本を発刊してきた歴史を振り返りながら、これまでは十分に着手できていなかった書き手や分野などにも挑戦するという。また、イベントを通じて、ファンや初めて岩波文庫を知る層にも、親しんでもらう機会を拡充することを目指す。
まず、2027年1月には、100年前の創業当時に発刊した約20冊に含まれていたプラトン著『ソクラテスの弁明・クリトン』と、カント著『実践理性批判』を、新たに訳しなおし、全面新訳として発行する。
同月には、夏目漱石の『心』も新たな手法で刊行。夏目漱石自身が原稿用紙に書いたそのままをカラーで掲載。漱石だけが使っていた「漱石山房」デザインのオリジナル原稿用紙に書かれており、漱石が加筆したり書き直したりした当時の様子を垣間見ることができる。同社は「完成に向けてどのような試行錯誤と努力を重ねていたのか、その痕跡を辿ることで、活字版とはまた違った新たな読書体験がもたらされる。肉筆ならではの文字の表情、ペン先の運び方、書き癖など、漱石の筆致を様々に鑑賞できるのも魅力」としている。
また、品切れで買えなくなった本も復刊する。岩波書店は2026年7月10日~9月23日、読者から復刊リクエストを募集。応募件数は4500件、回答者数は2200人に上った。現在、集計など作業を進めており、11月には復刊書目を決定、同社の創刊100年特設サイトなどで発表する予定。復刊する本は、第1弾を2027年2月17日に、第2弾を3月17日に発売するという。
1950年代にあった岩波文庫の愛読者でつくる組織「岩波文庫の会」も再結成する。全国の愛読者が交流する機会を設け、岩波文庫の古典的名著を楽しんでもらう場として設ける。有料会員制のブッククラブで、登録者は会員専用のコミュニティサイトを閲覧でき、読書記録の共有、ブログやつぶやきの発信で情報交換も可能という。





