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コラム

編集・ライター養成講座修了生が語る いまどきの若手編集者・ライターの生き方

編集者・ライターの仕事は、「自分だけの仕事」を見つけることだと思う。

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森 オウジ(フリーライター・編集者/編集・ライター養成講座2005年大阪教室修了)

この世にたったひとつでいい。
自分だけの仕事があるということ。それが僕にとっては、最高の幸せだと思います。

1篇の偉大な小説も、1本の高名なシャンパンも、そこにこの世でたったひとつの、「自分だけの仕事」があったからこそ生まれている。僕はそれに続きたくて文章を書く仕事をしています。

去年の12月17日に出版された、島根県の海士町(あまちょう)という離島でまちづくり会社・巡の環(めぐりのわ)を起業した若者たちの冒険起業譚『僕たちは島で、未来を見ることにした』は編集者としての今の僕の「自分だけの仕事」になった気がしています。
今回はこの本の制作過程を振り返りながら、僕の仕事をご紹介します。

この本の面白みは、今は超過疎・少子高齢化の離島に移住し、起業してしまう若者がいる時代である、ということに尽きます。
著者の阿部裕志はトヨタを辞め、信岡良亮は東京でのWebデザイナーを辞めて移住しています。都会では「エリート」「クリエイティブ」と呼ばれ、もてはやされるだろう彼らがそのキャリアを捨て、起業したのは、ニューヨークでも東京でもない、島根県の離島でした。そして、その目的は「社会をつくる」こと。

隠岐諸島にある海士町は、ソニーを辞めて移住し、島の教育事業に携わるような刺激的な若者がいて、帰郷者・移住者が島の全人口の20%を占める、まちおこしのモデルとして日本中から注目されている不思議な島でした。

もちろん彼らは「社会をつくる」ことを目的に離島で起業したある種、ぶっ飛んだ人たちです。
しかしそれは、「今の時代は、島で未来を見たっていい、むしろその方が面白いかもしれない」という可能性でもあるし、あるいはこれからの日本の希望のひとつかもしれません。

彼らの離島起業を言い換えたとき『僕たちは島で、未来を見ることにした』というタイトルが生まれました。
この視点をつくったことが、僕の編集者としての「自分だけの仕事」でした。

後半では、「自分だけの仕事」がどのように成り立っていったのか、より具体的な制作過程を振り返ります。
また、編集者として思う今の「本の力」についてもお話できればと思います。

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『僕たちは島で、未来を見ることにした』
「社会が変わるとき、自分たちはどこに居たいだろうか」 僕たちが選んだ場所は、ニューヨークでも東京でもなく、 島根県の離島、隠岐諸島にある海士町だった―――。離島で起業。 その目的は、島の「学校」をつくること。 そして彼らが移住した、島根県の離島・海士町では、新しい社会のカタチを模索するための、様々な実験が総出で行われていた。全く新しい未来への視点として「島」を見出した彼らの生き方を、冒険起業譚として綴る、島と地域と未来の入門書。
木楽舎刊、1890円(税込)。

森オウジさん
森オウジ(もりおうじ)
京都生まれ。STUDIO VOICE、CINRA.NETなどのカルチャーメディアをはじめ、ダイヤモンド・オンラインやプレジデントといったビジネス寄りのメディアまでで、インタビュー記事等を執筆。書籍ではスープデザイン・尾原史和著『逆行』(ミシマ社刊)、成毛眞著『成毛眞のスティーブ・ジョブズ超解釈』(KKベストセラーズ刊)などに携わる。最新作は阿部裕志・信岡良亮著『僕たちは島で、未来を見ることにした。』(木楽舎刊)の編集・構成。新刊も準備中。目下の興味は、サイエンスライターとして活動を広げること。

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