コラム

IMCは3.0へ――日本企業に必要な「REAL MARKETING」

戦略PRは終わりました。

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前回の記事「あなたの会社に、本当に「マーケティング」はありますか?」はこちら

「戦略PR」というワードが注目されるきっかけをつくったのが、2009年に出版されたブルーカレント・ジャパン、本田哲也氏の『戦略PR 空気をつくる。世論で売る。』 (アスキー新書) とインテグレート、山田まさるの『脱広告・超PRー広告を信じなくなった消費者を動かす』(ダイヤモンド)という2冊の書籍です。

それまで日本において「PR」と言えば、企業の広報部門がIR等の企業情報、新製品などのニュースリリースの配信や記者会見を行うなどして、情報をメディアに提供し、記事化や番組化を目的とする、いわゆる「パブリシティ」と同義でとらえられていました。

メディアという第三者が主体者となる「パブリシティ」において、露出内容を企業がコントロールするのは難しく、多くの日本企業は長らく広告という100%コントロール可能な手法を中心にマーケティングを行ってきました。

しかし、インターネットの普及が引き起こした情報洪水と消費市場の成熟でテレビCMをはじめとする広告がこれまでの様に効かなくなってきたことで、PRにより消費者に「気づき」を与えて、「買う理由」を生み出し、広告が効きやすい世の中の「空気をつくる」、戦略PRというアプローチが注目されることになりました。

分かりやすく言えば、特定の製品名や企業名を出さずに、その製品カテゴリーの“トレンド感”や、製品が解決できる課題自体をメディアという第三者からの信頼性の高い情報によって注目させ、広告に気づいてもらえる情報環境を作るということです。

「第三者性」「カテゴリー訴求」こそが、戦略PRの鉄則です。PRは、客観的で“広告”や“宣伝文句”ではないから信頼してもらえる。それゆえ、企業や製品・サービスのことを真正面から語るのではなく、「ファクト」をベースにした世の中の話題や商品のカテゴリー情報を起点に置く必要があると言われてきました。

弊社も、「広告+戦略PR」の手法で多くの企業のお手伝いをさせていただき、その事例をつくってきました。

最大のテーマはストーリーテリング

しかし、あれから5年が経ち、スマートデバイスの急激な普及や、まとめサイトやキュレーションサイトなどのデジタルメディアの増加など、マーケティングにおける環境変化はさらに加速度を増し、広告がより生活者に届きにくくなる中、この戦略PRという概念が時代遅れになってきています。

また2011年の震災を経て、日本でもソーシャルメディアが一気に浸透しました。誰もが発信者になれるネットが登場して以降、企業と消費者の関係がフラットになり、なおかつソーシャルメディアによって相互ネットワークという要素も加わったことで、私たちは製品を選択するときに、そのブランドがどんなことを考えて、どんな事に取り組んでいるのか?つまり、モノの機能性レベルだけではなく、その向こう側にある企業やブランドの社会に対する姿勢や理念、も選択の基準にするようになりました。

自分たちの伝えたい製品情報を連呼する従来の広告という企業情報のフォーマットがこれまで以上にスルーされやすくなってきています。こうなると、カテゴリーを盛り上げて外堀を埋める第三者による課題啓発のカテゴリーPRだけでは、もはや、消費者の“聞く耳”は作れません。

企業やブランドの新しいライフスタイルを創造するようなチャレンジやユニークな取り組み自体が、従来の広告というフォーマットに加えて、PRという客観性の高い第三者情報としても消費者へ届けられることで、ブランドとの絆を作ることができるのです。

社会性の高い“取り組み”や“奮闘”を物語としていかに編纂できるか—ブランデッドなストーリーテリングこそがこれからのマーケティングの最大のテーマでしょう。

そして、このブランデットコンテンツの開発には、クリエイティブなセンスが求められます。これまでクリエイティブと言えば広告の領域であり、PRパーソンにはあまり関係ないものと考えられてきました。

しかし、ブランデットコンテンツにおいては生活者の心をつかむ広告のクリエイティビィティーとPRの公共性、社会性を共存させる、いわばアートとサイエンスの融合ともいえるナレッジが、コンテンツを自走させるためには欠かせません。

次ページ 「PR会社にクリエイティビィティーは必要か」に続く

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