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コラム

『編集会議』の裏側

コルク 佐渡島庸平「これからの“編集”の話をしよう」

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9月16日に発売される『編集会議』2015年秋号。特集「新時代に求められる“編集2.0”」では、“これからの編集者”を体現する存在として、数多くのメディアに出演し、エージェントビジネスという新境地に挑むコルクの佐渡島庸平氏が登場。新時代の編集者のあり方のヒントを語ります。ここでは、記事の一部を一足先に紹介します。

およそ3年でたどり着いた「コミュニティ」という一つの解

コルク 代表取締役社長 佐渡島庸平(さどしま・ようへい) 氏
2002年に講談社に入社し、『ドラゴン桜』(三田紀房)『宇宙兄弟』(小山宙哉)などの編集担当。2012年にクリエイターのエージェント会社、コルクを設立。『鼻下長紳士回顧録』(安野モヨコ)『テンプリズム』(曽田正人)『インベスターZ』(三田紀房)『マチネの終わりに』(平野啓一郎)の編集。

これまでの出版界のビジネスモデルが通用しなくなっている–それは、縮小を続ける国内の出版市場のデータが物語るだけでなく、相次ぐ雑誌の廃刊や出版社をはじめとするプレイヤーの廃業などからも、その苦境ぶりがうかがえる。

「日本の出版界の仕組みは、たくさんの人が書店で本を買うことを前提に成り立っていたのですが、その前提がいま、すごい勢いで崩壊しつつある」。

そう語る佐渡島庸平氏は、2012年10月に講談社を退職し、作家エージェント会社コルクを設立した。出版社や媒体の都合に左右されず、作家の才能を最大限発揮させ、作品の価値をより高めるべく、長期的なスパンで作家とタッグを組む体制を敷くためだ。原稿料や印税から一定のエージェントフィーを取るコルクのビジネスモデルは、破綻しつつある出版界の仕組みをも変えようとしている。

コルクの設立からおよそ3年が経とうとしている現在、設立当初にイメージしていたことを具現化できているかという問いに対し、「どちらかといえば当初イメージしていなかったことをやっています」と佐渡島氏は答える。この3年、出版社にいた頃には接点のなかったベンチャー経営者などと多く会うようになった。時代の先を見据えるリーダーたちが考えていたのは、ITによって世の中がどう変わるかということ。あらゆる業界がITに翻弄されており、それは出版界も例外ではないと感じた。

「だから、作家もITの世界に飛び込んでいかないとダメだと思うし、そのサポートをすることこそ、僕らの仕事です。従来の出版に代わる収益モデルは世界を見渡しても見つかっていないし、それは世界で同時に挑戦を迫られているということ。これまでは良い本を出せば売れましたが、いまはもうそういう時代ではない。これからの時代に重要なのは、どうやってネット上にコミュニティをつくるかだと思うようになったんです」。

“コミュニティ”―佐渡島氏はその言葉を、これからの編集を考える上でのキーワードに挙げる。

“作品外で作品を楽しんでもらう仕組みをつくることが、これからのモデルとして必要だと考えている。”

次ページ 「重要なのは、コミュニティの熱量を上げること」へ続く


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『編集会議』2015年秋号
9月16日発売 定価1300円
事前予約もいただけます。


特集「新時代に求められる“編集2.0”」
「良いものをつくれば売れる(読まれる)」という時代が終わり、読者・ユーザーに「どう届けるか」という“コミュニケーションを編集する力”が問われるなか、編集にはどのようなアップデートが求められているのか。編集を再定義しようとする考え方や取り組みを通じて、これからの編集のあり方について考える。

・KADOKAWA×宝島社×LINE「新時代の編集者の採用基準」
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・若手編集者が語る1.0→2.0の間

特集「コンテンツマーケティングを生かすオウンドメディア戦略」
—100社に聞く オウンドメディア運用の実態
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特集「本の最前線はいま 書店会議」
—出版界の勢力関係を解き明かす 出版界カオスマップ

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