電通は23日、同社とグループ会社が国内のインターネット広告の取引で不適切な業務を行っていた事実があったと発表した。故意または人為的なミスに基づく広告掲載期間のずれや未掲出、運用状況や実績に関する虚偽の報告などがあり、中には実態と異なる請求書が作成され過剰な請求が行われたケースもあった。現時点で、疑義のある作業案件が633件、対象となる広告主数が111社あり、不適切な取引にあたる金額は約2億3000万円としている。未掲載請求は14件で総額は320万円だった。
電通は同日夕方会見を開き、中本祥一副社長は「管理体制が不十分だった。今後の対応は包み隠さず伝えていく」と陳謝した。
不適切な取引の発覚はトヨタ自動車からの指摘が発端。調べるうちに他社の案件にも発覚したという。7月に判明し、8月に中本副社長を委員長とする委員会を設置し調査を開始した。2012年11月以降の1810社、20万件を対象に調査を行い、年内をめどに完了させる。対象の広告主には随時報告しており、補償も含めて対応する考え。全容発覚後に改めて会見を行うとしている。かかわったグループ会社はDAサーチ&リンクとサイバー・コミュニケーションズ、旧ネクステッジ電通(現在は電通デジタル)。
主な対象である運用型広告は、広告枠を入札で押さえるのが特徴。期間やターゲットなどを電通やグループ会社のスタッフが管理画面を通じて運用する。例えば、本来1万回の露出で請求すべきものを9900回の配信にもかかわらず請求し、1万回配信していると報告していたという。
電通は「当面はデジタル領域の発注掲載の確認を独立性の高い組織に任せる」(中本副社長)としている。
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